Apr 21, 2013
『アリスと蔵六』第1巻発売記念 今井哲也先生サイン会
サイン会に参加するのは実に久々、漫画家さんのそれならまさにCOMIC ZINの旧店舗で開催された私屋カヲルさんのとき以来。
整理券が配布された3/30(土)は寝坊をぶっこいたorzけれど無事確保。
ただ整理券番号はあとのほう、17時開始予定の第3部での参加だから出掛ける前の仕込みも万全、さらに秋葉原を徘徊しながらじっくりと、リクエストするイラストのキャラを熟考して。
で、担当編集者さんのTwitterでのサイン会実況によれば第1部では早苗と千佳が多いとか。じゃあヒネらずにヒロインをチョイスして、でも「わざとじゃない!」みたいな蔵六よろしくぶん殴りたくなる表情をリクエストしようかな、と思うもその紗名が盛り返してきたとのこと・・・なら!
そして25分ほど押して始まったサイン会の第3部に、3階でエロ本を眺めて時間を潰してから潜入、「よろしくお願いします」と氏名を記入してアンケートに回答した整理券と、『アリスと蔵六』の第1巻を差し出しながら私がリクエストしたのは『ぼくらのよあけ』の花香。
久々で今井さんが「うーん」と笑っていたから、「あ、単行本持ってきてますよ。でも要らないですよね」とほざいたのはジャブ、そうしたギャグをかまさないと気が済まない性分なので次はサイン会実況に触れた私、イラストのリクエストは女子高生が優勢で「カミングアウトしてくれない」とのツイートがあったから
「ロリコンなんで(キリッ」
とボケたところ、周囲のスタッフさんたちもウケてくれたよ。よし、じゃあ次は仕込みのこれを!えーと、女子高生のリクエストが多いようなので
私 「『トラベラー』のサエをお願いしようかとも思ったのですが」
今井さん 「あ、その頃から・・・」
そう、バッグに忍ばせてきたのはアフタヌーンの2006年4月号の付録、四季大賞を受賞したデビュー作が掲載された「四季賞2005年冬のコンテスト」の冊子。これもスタッフさんたちがウケてくれてよかったよ!
「今日のために発掘しましたw」と私がウザいボケを重ねたのはともかく、冊子に視線を向けながら今井さん曰く「もう10年になるなあ」。なるほど、執筆したのは2004年とのこと。そして『ハックス!』『ぼくらのよあけ』、これからの展開には期待するしかない『アリスと蔵六』に繋がって・・・
そんな話をしながらさらさらと花香を描いてサインを入れて下さった単行本を、「あまり上手く描けなくてすいません」というお言葉とともに、「柏木ばりの神対応」と実況された通りの握手をしながら拝受して、「(来月は不参加でしょうけど)コミティアも楽しみにしています。応援しています!」と最後に言って、サイン会の参加者のために用意されたペーパーをスタッフさんに頂戴して退場、
うん、楽しかった!
だから、そのペーパーに描かれた4ページの漫画、『スポロンポルック電王戦』を読みながらファミレスで飲んだビールがとても美味しかった、夕暮れの日曜日でした。
Jun 1, 2011
第4回 K-ON!グランプリ
誰だ!オワコンオワコン言ってる奴は!(私です( ・ω・)ノ
きららはたいへんなことになってるんだぞ!晶たんは最高じゃないか!
ということで先週末に性懲りもなく発売されたアンソロの4巻に収録されたコミックの極私的ランキングを性懲りもなくまたお送りしようと思います。
カバーの折り返しが大沖さんとか、カバー裏には道満晴明さんだとかありますが、本文中の描き下ろし漫画、10作品を対象にベスト3を選びました。それでは!
第3位 シバユウスケさん 「AZUSSAN☆」
唯が優季ですがそこがいい!そう、「チェルシー」のテイストで「けいおん!」をやられたら私は!
あずにゃんの可愛さは特筆ものだし、訳が分からないギャグが飛び出すかと思えばオチも優秀、当然の上位です。
第2位 茶菓山しん太さん 「下級生」
あずにゃんに憂、純の新生軽音部。唯たちが卒業しておかしくなったあずにゃんはまあいいとして、憂まで気持ち悪いぞ!
といったギャグのオチはさわちゃん先生で・・・まともなのは純だけなのか?といった風に面白いですよ。
そして、だだだだだだだ・・・だーん!(ドラムロール)今回のベストはこちら!
第1位 博さん 「ティータイムのない放課後」
構図とキャラクターの表情、そして台詞。
ひとコマひとコマを丁寧に、大切に描いた作品は評価されなければいけません。
ギャグではなくコメディですらないシリアスな作品が、このアンソロのシリーズに掲載されたことがあったかどうか覚えがないのですが、ともあれ梓を中心に、放課後ティータイムの絆をたった8ページに紡いだ仕事は見事でした。
「見開きアンソロ」では白雪しおんさんがよかったですね。
扉絵が楽器屋のあんちゃんwと意表を突かれたこともありますが、欄外を含めたギャグにキレがあって、ちゃんと仕掛けを打った上でのオチを準備した点が秀逸です。
ところでショップの特典は今回もしょっぱかったなあ・・・どこかで描き下ろしはあったんでしょうか?
あと昨日、たちばな書店のジョークグッズコーナーを眺めていたらゆっことかみーことかあんずとか(ry(ヤメレ
Jan 30, 2011
深崎暮人先生サイン会
と思い立ったわけではなく、某氏の陰謀に嵌った私・・・そりゃあ東京のサイン会はアレだったけど!
ていうか、名古屋~米原間の積雪の影響で東海道新幹線が15分遅れとか言ってるけど今日は大丈夫なんだろうな。 ( ゚Д゚)
市営地下鉄と阪急京都線の乗り継ぎを間違うことなく、河原町に着いてからは藤井大丸がランドマークとして方向音痴に実に優しく・・・ほら、すぐそこにとらのあなが!
さすがは京都、1階のレジのお姉さんが丁寧で可愛いよ!とドキドキしながら電話予約した旨を告げて、まずは「CRADLE 深崎暮人画集 通常版」の引き取りを。特典のポスターは、うーん、遠征だし荷物になるよなあ・・・とは思ったけれど、
池袋店で限定版を買ったときにもらったので結構です(キリッ
とほざいて「阿呆どすなー」とツッコまれても困るので受け取って、整理券のアンケート項目に、サイン会の対象図書の「好きなキャラクターを記入して下さい」とあるのを見て、テンプレ変えれ( ゚Д゚) とツッコミを入れたくなりながら初めてのとらのあな京都店をとりあえず巡回。
昨日の池袋店では早々に完売したうめてんてーの冬コミ新刊がまだあったので、持っているけどついまた買ったあとで一旦退店、えーと、寺町通をまっすぐ進んで六角通を左に折れて・・・道に迷うことなくらしんばんへ。
広くて綺麗だなあと思いつつ棚やコンテナを漁ったけれど収穫はなく、えーと、ここは蛸薬師通であれがパルコ・・・なのに何処!と見つけるのに苦労したメロンブックスへの移動に成功するも・・・狭!近日移転は実にもっとも、ていうかそもそもらしんばんと逆にしておけばよかったんじゃね?
あと、そうして道に迷っているときに中古同人誌を取り扱っているショップを見つけたけれど、こ○っくあ○らんどみたいで以下自重
とかやって時間を潰してから軽食をとって、開始時間の16時40分にはまだ早いけどとらのあなに戻ってスタンバイ、そしてはじまったサイン会第2部は静かに、スムーズに進行。
私の前の人が何処から来たのか訊かれていたので、「東京からです!(キリッ 1月16日はこみトレだったので」とか、あるいは「夏コミでは初動で行きます!(キリリッ 中古は高いので」とかネタを準備してたのに私は訊かれなくて・・・(´・ω・`)
サインと参加者特典の卓上カレンダーを頂戴したあと、深崎先生へのメッセージを書くために準備されたホワイトボードにそうしたリビドーをぶつけて、会場のすぐ横ではTony展を開催中だったけど東京で見たからそのまま撤収、帰路の新幹線は2~3分遅れで東京に着いたから、じゃあアキバ、行こう。
とやるほど酔狂でもないのでそのまま帰宅、満足したので財布の中身が妙に減っていたけど気にしないことにしましたよ。
Oct 3, 2010
シバユウスケ「チェルシー」
そう言えば入学式のときもこの道を走った。
何かしなきゃって思いながら、何をすればいいんだろうと思いながら、
このまま大人になっちゃうのかなって思いながら。
ねえ、私。あの頃の私、心配しなくていいよ。
すぐ見つかるから。私にもできることが。夢中になれることが。
大切な、大切な、大切な場所が。
よし!お笑いやるよ!!
何かしたいと思ってたから。
何もしないまま1年がもう過ぎちゃったから、あと2年でみんな離れ離れになっちゃうかもしれないから。
それはただの思いつきだったけど、でも、私たちが楽しいときに楽しい!と思う、面白いときに面白い!と思う気持ちを、見てる人たちに共感してもらえたら!
はたして女子高生カルテット、チェルシーのそんな思いは初舞台の学園祭の、事務所ライブのオーディションの観客に、そして読者に伝わることになるのです。
そしてこの作品で強調されるべきは、高校2年生の春にはじまるたった1年間の物語という特異性。
学園ものとしては珍しく、それはプロットからすればもっともだけど心憎く、だからこそ彼女たちの一瞬の季節がラストシーンに至るまで、キラキラとしたものに映ると言えるでしょう。
生徒会長と副会長、あるいは優季との百合要素・・・はともかく。
悠宇が理系から文系のクラスに転入した理由や、ちょっと不憫な扱いのマドモアゼルといった物語の引き出しはまだまだあるでしょうし、ロッキン雅や柊リズムといったライバルを含めてキャラクターが絶品、たった2巻で完結というのはもったいないとは思うのですけどね。
でも、このあとの物語は、
優季 「よし!やるよ!」
悠宇・詩信・幸 「オー!!」
チェルシーや放課後ティータイムが数年後の日本武道館を湧かせるものなのかもしれません。
■ シバユウスケさんホームページ : p o l y z m
Aug 27, 2010
第3回 K-ON!グランプリ
原作は9/9(木)発売のまんがタイムきららに掲載される次回が最終回。
アニメは番外編がそのあと2話続くものの、9/14(火)放送分(TBS)が最終回と、「けいおん!」が終わったら○のう・・・と悲観するそこの貴兄。
その寂しさはしばらく忘れて、 夏コミで買ったあずにゃんのエ■本や このアンソロで楽しむことにいたしましょう!
ということで、芳文社から発売されたアンソロの3巻に収録されたコミックの極私的ランキングをまたまたお送りします。
きららMAXに掲載された「見開きアンソロ」以外の描き下ろしは11作品と少ないので、今回はベスト3ということで!
第3位 源五郎さん
電波女の妹にもやっぱ多少の電波がw でも、唯はいくら食べても体重増えないんだーでは( ・ω・)?
第2位 こむそうさん
無人島ネタだけど律×澪だし「とんだふわふわ時間」わろすだし!
そして、栄えある今回のベストはこちら!
第1位 鈴城芹さん
vol.1に掲載された作品と方向性は同一ながら、原作が終わろうとしているこの状況で、まだ、とりあえず続いている日常をさわちゃん先生を中心に描いて、そしてラストの台詞がどうしようもなく秀逸だから。
今回のベストはこれしかないと思うのですがいかがでしょう。
ところで「見開きアンソロ」は、2ページでは首胴尾すら構成できないというもの。
出来をどうこう言うのは無粋でしょうけれど、それでも1コマ1コマにテンポよく可能な限りのギャグを詰め込んで、唯の絶対音感ネタを盛り込んだ守姫武士さんの志にだけは触れておくことにします。
まだ買っていない人は、ショップ特典がしょぼい・・・とか言わずにどうぞまた芳文社に騙されましょう !
May 1, 2010
第2回 K-ON!グランプリ
けいおん!厨のみなさんは 「Listen!!」はどうでもいいとして もちろん「GO! GO! MANIAC」とアンソロの2巻はお買い求めですよね?
ということで、収録されているコミック、13作品の極私的なランキングをまたつけてみましたよ!
第5位 コバヤシテツヤさん
第4位 仏さんじょさん
隠密ティータイムだの「貴殿を覗うと常に心が動悸動悸」だのコバヤシテツヤさんはバカバカしさが秀逸。
仏さんじょさんはシチュエーションとキャラが活きていて、簡素なオチもなかなか。
第3位 志摩時緒さん
贔屓目に見てしまう作家さんなのですが、ネームの上手さと、梓のツッコミにコーラ噴いてしまった以上はやっぱ上位ですよ!
第2位 ねことうふさん
これぞスラップスティック!ただ、おとなしい作りではあり、もっと振り切っちゃっていたなら・・・とは。
それでもふつうに考えたらこの作品がいちばんだと思うのですが、反則とも言えるベストはこちら!
第1位 kashmirさん
ナンセンスの極致、1コマ目から止まらないワクワク感!ていうか、けいおん!でなんてことをwww
大量のイカを煮る羽目になった憂はいい迷惑なオチも絶品、こうした方向性のギャグが特別好きなわけではないのですが、アンソロに飛び道具が潜んでいたことが楽しいというか嬉しいというか。
ちなみにワーストは ピ ー ですが、また識者のみなさんにdisられると私はチキンなのでちょっと。
でもね、梓も憂もあんなじゃないと思うんだ!(ヤメレ
それはそれとして、このゴールデンウィークは不参加だったCOMIC1☆4のけいおん! のエロ 本の物色に勤しもうと思っている私です。SINGING SO LOUD!
Dec 3, 2009
第1回 K-ON!グランプリ
「けいおん!」のアンソロはもちろんみなさんお買い求めかと思いますが、収録されているコミック、14作品の極私的なランキングをつけてみましたよ!
第5位 鈴城芹さん
第4位 カヅホさん
ラストは鈴城芹さんがいちばん秀逸、こう来たか・・・ていうか、ぶっちゃけ参った!みたいな。
作家としてはラインナップの中でカヅホさんがいちばん好きなのですが、それだけに期待しすぎでちょっと喰い足らなかったかな・・・と。ロックすぎる1本目のギャグにコーラ噴いただけに。
第3位 野々原ちきさん
さすがにソツがないし、あずにゃんは出てくるし、某不人気キャラ(おい)を主役にした心意気から上位に据えないわけにはいきますまい!
第2位 爆天童さん
ぶっちゃけムギなんか(中略)なんだけど、ひとコマひとコマの上手さが光っているので。
そしてベストは!
第1位 大沖さん
私は東方厨じゃないから 大沖さんは特別好きでも嫌いでもないのですが、その巧妙さの冴えっぷりが絶品、反復のギャグかと思ったら肩すかしを喰らわせてくれたのも心憎いかぎりで!
ワーストもあれこれ考えたのですが、識者のみなさんにそれはもうdisられたので割愛。
ところで、ショップ特典についてはとらのあなが人気のようですね。
でも、COMIC ZINのきららフェアで唯×梓のイラストカードをゲットした私は勝ち組だと思うんだ!
Apr 2, 2009
鳴子ハナハル「少女マテリアル複製原画」
厳重な梱包が施された宅急便の伝票に、「少女マテリアル ミュージェットグラフ在中」と書きやがったのも、予想と覚悟はしていたから、まあ赦してあげましょう。
代金の振り込み順ではなく、まず葉書で申し込み案内と振り込み用紙を取り寄せたときの先着順で割り振られるシリアルナンバーは10XX/1800だったのですが。
私が応募葉書を送ったのは、締切までもうあと半月という去年の10月15日、「少女マテリアル」の発売日は7月1日だったから、信者の勤勉さはもうひとつだった・・・かも?
購入者全員特典の描き下ろし冊子、ぶっちゃけ同人誌な「Girl Scouts」は、「少女マテリアル」のカバーガールのオリジナルコミックで24ページ。
同梱されていた購入者への案内に曰く、「実用本位の作品に仕上がっております」。
うむ、たしかに貧○好きも巨○好きもこれは実(中略)「少女マテリアル」自体があまり実(後略)
それはそれとして抽選での特典は、ヒキの悪い俺だから、ああ、やっぱ同梱されてないや・・・と思うも、今まで告知のなかった「1点モノ直筆生原稿」を含め、色紙であれ複製原画であれポスターであれ別送、「当選者の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます」とのこと。まあ、どうせ。
ということで、去年のハナハル祭もこれでようやく終焉だね・・・とか言ってると、今月はこういうものがあるわけですが。 orz
行くよ、もちろん行くってば!
Feb 7, 2009
GELATINをめぐる冒険
22時までにとらのあなやメロンブックスに行くことさえできなかった今週の私。
行けたところで特典のポストカードはランダム配布、ヒキの悪い俺じゃあ鳴子ハナハルさんや文倉十さんのイラストのがゲットできるとは思えないし、本そのものが手に入らないこともないよな。
とか言いながらアキバBlogよりも早く、ある筋からゲーマーズでは好きなポストカードを選べるとの情報を頂戴していたので、2/6(金)は職場をあとにするや新宿へダッシュ。
ここに来るのは初めてだなあ、 ていうか、なにこの廃墟 とゲーマーズ新宿店に入るや、不慣れな店内を物色・・・ないなあ。
店員さんに訊いたら品切れとのこと。えーとえーと、コレってもしや?
じゃあとらのあなは?と移動すると、レジのそばにはやはり品切れ、次回入荷は未定との掲示が・・・
難民フラグ、キタコレ!
と思ったら、アニメイト渋谷店には唸るほど。
特典が付くのかどうかが判らないけれど、まあこの際どうでもいいや。
ただ、それなら別にいま買う必要もないよなあ、とこの日はスルー。明日池袋で買おう、と。
で、2/7(土)、まずはとらのあな。あ、もう再入荷されてるや。
でもポストカードは配布終了とのこと、じゃあ一応ゲーマーズをチェックしたほうがいいかな?
こちらでも再入荷された旨のポップと平積み、特典については触れてないけど、もういいかげん買っちゃおうとレジへ。
すぐさま本を梱包しようとしているので、ああ、やっぱ・・・と思ったら、店員さんはレジの奥の棚へと手を伸ばして・・・ポストカードを袋に一緒に入れてくれました。
でも、「お好きなものを1枚」は秋葉原本店だけだったのか・・・まあ、ね。
欲しいポストカードでもなかったけどね。
ちなみにアニメイト池袋店もランダムながらまだ配布中・・・って、なんで買ったあとでわざわざチェックしに来てんだ、俺。
そんなことしてる場合じゃないだろ、明日はすぐそこで戦闘だろ!とか思いながらとっとと帰りました。
■ 1/27(火)~2/7(土)のショップでのお買い上げ
□ 商業 5冊(4,276円)
支倉凍砂・小梅けいと 「狼と香辛料」2巻(イラストカード付き@とらのあな)
桂明日香 「ハニカム」2巻(メッセージペーパー付き@とらのあな)
黒咲練導 「放課後プレイ」
安倍夜郎 「深夜食堂」3巻
季刊GELATIN(ゼラチン)2009はる(ポストカード付き@ゲーマーズ)
□ 書店委託同人誌 8冊(5,544円)
おかりな 「COWAREMONO♯10」・「COWAREMONO#9」(オリジナル)
むてけいファイヤー 「ぶらり!ときめきしつもんばこ」・「ND-special Volume5」(よろず)
Blue Mage 「雷撃放課後プレイ」(放課後プレイ)
Azure 「借りたモノの正しい返し方」(アイマス)
ヒジキ煮 「Happy Snow」(ハルヒ)
Chemi-Story 「麗いじり」(べびプリ)
□ イベントカタログ (1,050円)
ティアズマガジン Vol.87
Aug 2, 2008
高橋留美子展 It's a Rumic World
7月30日(水)から8月11日(日)まで松屋銀座で開催されている高橋留美子展に行って来ました。
入場したのが土曜日の15時15分といういい時間だったこともあって、入口の脇に「只今たいへん混雑しています」という旨の掲示があった通りに中には人人人、入ってすぐの「うる星やつら」ゾーンから見ようにも列はまったく進みません。
うーん、会場の奥から攻めようかな・・・と思っていると、係員さんの「順路はございませんので空いているところからご覧くださーい」というアナウンスが聞こえてきて、そのおかげかそれなりに列が進むようになったので、どうにかじっくりと鑑賞することができたのですが。
原画の端麗な線や彩りを見ていると、そこに高橋留美子さんの息遣いが窺えるよう。
それは紛れもなく日本の漫画界を制圧した才気であり、だからこそ入場者は見とれるあまりにみな歩みが遅く、「うる星やつら」の最終回の原稿が展示されたショーケースでは、またしてもなかなか進むことができませんでした。
そして、「うる星やつら」の次は「めぞん一刻」ゾーン、そこには一刻館のセットや模型があり、ただでさえ昭和を感じる展示会にあって、まして感嘆してしまうというもの。
そう、この高橋留美子展は世代を超えたものであり、「めぞん一刻」の結婚式のシーンの原稿をじっくりと見ているお母さんに連れられた子供たちは、そのあとの「犬夜叉」の原画やアニメの上映にきっと喜んだことでしょうし、ラムちゃんや管理人さんに萌えたであろう40歳前後の男性の二人連れが、
「高橋由美子が朱美ってのはなあ」
「20世紀最後の正統派アイドルがなんでって感じだよなw」
と話していたのも、実に趣があるというものです。
ただ、「犬夜叉」ゾーンで作品談義をしていたかと思えば、「原作は読んでないんだけどね」と宣った女性には(・∀・)カエレ!と思いましたけれど。
続きを読む "高橋留美子展 It's a Rumic World"Feb 2, 2007
松本剛「すみれの花咲く頃」
断ち切れないその思いが、どれほど周囲の人々に迷惑をかけているのか。
それはじゅうぶんに解っていた。でも。
宝塚音楽学校に行きたい。
・・・そして、「みかた」はいた。
松本剛さんが紡ぐ物語のやさしさとせつなさは、凡百の作家にはどうしたって描くことができないほどにキラキラと煌めくもの。
だからこそ、野にひっそりと咲く花を摘み取ったNHKドラマには快哉をさけぶほかになく、バブル景気華やかりし頃に発表されたこの名作が15年の時を経てもういちど輝くことに、狂喜したファンは少なくないことでしょう。
人を想うこと、そして自分を思うこと。
ゆっくりと、ゆっくりと、少年と少女のこころを描く、その精緻で清冽な物語世界は、やはり新装版が発売されることになった「甘い水」でも堪能することができます。
悪意に満ちた世界、暗く濁った澱から逃げ出したい。でも、逃げ出すことができない。
こちらはクライマックスにおけるヒロインのセリフ、「もういやよ」のカタルシスがどうしようもなく秀逸ではあるのですが、それまでの松本剛作品らしからぬどぎつさがあることと、プロットの根本に在るものが類似するという点で、未読の方にはまず、「すみれの花咲く頃」をお薦めします。
そして、こうして再評価される機運があるのなら、単行本に収録されていない短編の数々、個人的には「なかない渚」をはじめとする近代麻雀に掲載された作品群が、ふたたび陽の目を見ることを切望せずにはいられません。
【関連リンク】
「すみれの花咲く頃」番組ホームページ (NHKドラマ)
松本剛インタビュー (Walkerplus)
講談社BOX
「甘い水」(上)(下) 2007年2月3日発売
「すみれの花咲く頃」 2007年3月1日発売
Nov 29, 2006
堀田清成作品について
かつてのブームの中で雨後の筍のように次々に発刊、発表されては消費され使い捨てられた競馬マンガ雑誌と作品の数々。
競馬マンガというものは極論すればよしだみほさんだけが別格で愚にもつかない代物が多く、メジャーですら「この作者、競馬をぜんぜん知らないのでは?」という作品が散見される始末。
かの福本伸行さんでさえ、そのロジックが構築される前であったとはいえ、「無頼な風 鉄」というお粗末なものを描いてしまった過去があるわけですしね。
そうして、競走馬やその周囲の人間模様を陳腐に浅薄に描いたドラマもどきばかりだった中で、異彩を放っていたのが堀田清成さんの作品。
むしろスポットライトを浴びることなどない世界、競馬をめぐる隙間の物語をきっちりと描いていたその作品群は、愚作ばかりの中で鮮烈に輝いていました。
予想がまるで当たらない競馬記者とノミ屋の対決。
大学を卒業したばかりの若者を待ち受けるウインズの魑魅魍魎、「社会」の洗礼。
競馬場の清掃のパートをしていたおばさんが、ゴミとなった馬券に見た人間模様。
コーチ屋に身を落とした男は、もう一度華のある予想屋に戻れるのか?
ありえないツキが訪れたときに、人はどこまで張ることができるのか?
ルドルフとノミ屋の闘いの結末。競馬に「絶対」はあるのか?
Sports Graphic Numberが、やはりこのような切り口の特集をしていたことが思い出されますが、ともあれウインズや競馬場の風景、学校や職場や雀荘といった此岸の人々を、「競馬」や「馬券」を熟知しているが故の洞察とセンスで丁寧に描いた物語が面白くないわけもありません。
また、この名前を見たときに「ヒカルの碁」や同人誌即売会「コミックカーニバル」を想起した人も少なからずいるかと思います。
その点についてはWikipediaに詳しいので割愛、また、私が読んだ「JET PLOPOST」に作品は掲載されていなかったように思うのですが、森博嗣さんやささきすばるさん、山田章博さんらとともに物語世界を紡いでいた人なのですから、志のないマンガをもはや営業という意味でのみ描いていた作家たちとは一線を画したものとなるのは当然のことでしょう。
しかしその作品は単行本化されることのないままで、野に置いたままにしておくにはあまりにも惜しいよなあ・・・と思いながら、だから私は切り抜きをいつまでも捨てることができないのでした。
Sep 10, 2006
はっとりみつるさんサイン会
とらのあな池袋店で開催された「下着日和」発売記念、はっとりみつるさんのサイン会(9/9)に行ってきました。
はっとりさんのHPによれば、イラストのリクエストを受ける予定とのこと。
どのキャラを描いてもらおうかなあ♪と、あれこれ考えながらとらのあなへと向かったわけですが、それにしてもサイン会に足を運ぶなんて、いつ以来のことだろう?
なんとなくドキドキしながら4階で列に並んで待っていると、やがて列整理がはじまって、そして、参加者を誘導したり注意事項をアナウンスしたり、てきぱきと場を仕切っていた人から正式に「キャラリクを受け付けます」とのお言葉が。
ただ、ポーズやらなにやら、どのようなイラストを描いてもらうかまでは指定できないとのこと。
じゃあ、「静岡さんを乳だくで!」とか言うのは御法度ですね?
そして、14時になりサイン会のはじまり。5階の会場に入って、はっとりさんを見やると・・・
オタクっぽくはなく、かといってチャラい格好をしていることもなく、ごく普通のサラリーマンみたいな雰囲気の人なんだなあ・・・と。
いや、べつに百先輩やイカマサ先輩のような、アレな人を想像していたわけではないですけどね?
それはそれとして、ゆ→きをリクエストされて「うわ、久しぶりだ!描けるかなあ・・・」とかなんとか、笑っていたのにはウケましたよ。そしてもちろんサラサラと描いて、イラストの横に「うい~」と書き添えるのを忘れないのもさすがです。
だから、その次の人のリクエストに「・・・れな?」という反応だったのも、もちろんギャグですよね?w
「ウミショー」のキャラを描いていただこうと思っていたのですが、サイン対象商品のタイトルは「下着日和」、静岡さんにするのがスジかなあ・・・などとちょっと悩みながら、結局あむろをお願いすることにいたしました。
ということで、私だけのあむろたんはこちらです。ちょわー!
Aug 4, 2006
打姫(うたひめ)オバカミーコ 実写版
こうしたマイナーなDVDタイトルが普通のショップに入荷されることもなかろうと、秋葉原の石丸電気に行って新譜コーナーから手に取るや、そこには小向美奈子さんのイベント参加券がもらえる旨のプレートが。
ただ、それはリリースされた翌週、ちょうどそのイベントが行われた直後のこと。
レジの店員さんにそれでも構わないかどうか訊かれ、「いや、片山まさゆきさんのサインは確かに欲しかったですが」などと答えることもなく購入、さて、早速鑑賞するとしましょうか。
・・・うん、この胸は確かにグッジョブだ。特にリーグ戦の闘牌シーン、胸の上に付けたネームプレートの角度にはそそるものが!萌えるものが!
それはそれとして、ドラマそのものの按配はと言うと・・・ いやいや、なかなかに楽しめる出来でしたよ。
この手のドラマにありがちなくすぐりが寒かったけれど、それも予想していたことだしね。
どうせなら闘牌のシーンをもう少し見せるものにしてほしかったとか、恭子がきちんと描かれていなかったのがちょっと・・・とか、多少言いたいことはあるものの、小向美奈子さんはがんばっていると思うし、波溜を演じた岸本祐二さんが原作のイメージにぴったりなのもなにより、で。
そして、
「言ってること、わけわかんない」
「わけわかれよ!」
「こうなったら、俺たちはもう勝つしかないんだ!」
人形劇の麻雀講座はいらないと思うけれど、それほど原作に忠実に映像化したことが、サイン入りジャケットやツーショットポラロイドには興味のない、原作のファンを納得させる結果に繋がったように思います。
【関連記事】
片山まさゆき「打姫(うたひめ)オバカミーコ」
Aug 1, 2006
口八丁ぐりぐら「花と泳ぐ」
たとえこの日々が、限りあるものだとしても。
彼女の存在が、誰にもわからないのだとしても。
「あずまんが大王」の手口や文法そのままに、体裁だけはもっとだけど出来はと言えば・・・という作品が少なくないように思える最近の4コママンガ。
この作品はそうした無為なものではないものの、ただ、物語の中心に在るものと、いまどきの普遍的なギャグが相容れないというか、そぐわないというか・・・なのが気になるところ。
また、サブタイトルに「the beautiful days」と謳い、自分がどうして幽霊になったのか分からないヒロイン・菊子をめぐる、楽しくて、だけど切ない日々を描こうとしているのなら、そもそもギャグにふった話作りにしなくてもいいだろう、とか。
そうしたもの言いは無粋なのかもしれませんが、「4コママンガのドラマ性」を考えているのであればなおのこと、その絵柄の可愛さと合わせて、どうにも違和感を抑えることができませんでした。
しかし、
「僕たちは、こんなに狭い世界ですれ違い続けていた。」
だからこそ物語の行く末が読者の期待を裏切らない、素敵なものになるのなら、そのインパクトはことさら強いものになるのだろうな、と。
実際、この手のマンガは油断して読んでいると、たとえばしおやてるこ「チョコレート」のような不意打ちを喰らうことがままあることですしね。
まあ、個人的には今さらな貞子ネタに不覚にもウケてしまったし、梅ちゃんや会長はいいキャラだし。
なにはともあれ「眠り姫」は目覚めるのか、それとも・・・と、その結末に注目されるべき作品であるとは言えるでしょう。
May 10, 2006
犬威赤彦「幻想主義」
嗜好としてのファンタジーは、なるほど、モラトリアムの香りがしないでもないなあと、読み始めてすぐまず感心。
映画館での出会いや、恭一が母親の写真に話しかけるシーンなどは「いかにも」だけど、こういうのは嫌いじゃないし、理子が日常生活の中で感じている居心地の悪さをキッチリと描きながら物語が進むのは、うん、いいカンジだね、と思ったり。
そして、ラストが「冒険の旅」であることも、王道とはいえ無理にヒネる必要などないのだから上々ではあるのですが、そこへと至る中盤の山場、テーブルトークRPGのシーンについては読む人によりけりの感想になりそうだなあと思うし、さらに言えばこの作品の評価を左右してしまうことになるのでは、と。
ほとんどの人がプレイしたことなどないであろう世界に、物語における重要な意味を持たせるのなら、読者をとにかく引きずり込まなければならない、その覚悟および力量が必要であるはず。
もちろん、嗜んでいる人であればまた違った感想になるのでしょうけれど、自分の場合は読んでいてどうにも醒めてしまったというか・・・
また、いつものことであるとは言え、全体を通して台詞やコマ割りに凝りすぎている点も、物語が展開する上でのリズムを徒に悪くしているだけなのが気になるところ。
まあ、あとがきやとらのあなのメッセージペーパーにある通り、完結するまでの二年半、難産を重ねたであろうことを考えると、そう酷評するのもどうかという気はするし、この作品や「こみっくパーティー」を踏まえて、またセイシュンな物語を描いた場合にどのようなものになるか、注目したいとは思います。
しかし、現時点ではいかに「MURDER PRINCESS」が、その作風に相応しい物語であることか・・・ それもまた、この作品を読んでの感想ということになりますね。
Apr 26, 2006
亜桜まる「090 えこといっしょ。」
・・・・・・ちょびっツ?
などと思わずベタなボケをしてしまうくらい・・・ かなり面白いですよ、これは!
「勝手に充電しないでよっ ドスケベ!!」だの、えこがさも当然のように学校についてきて「うあーっ!?」だのといったギャグはツボだし、小気味のよい台詞回しが実に自然にストーリーと絡みあっていて、だからシリアスにふった話でも嫌味のない、バランスのよい仕上がりになっています。
キャラクターもあざとさや無理がなく、徒に萌えを狙うこともなくていいカンジ。生徒会については「・・・くじアン?」と思ったりしないでもないですがそれはそれとして、とにかく佐藤くんが面白い!
刺客との戦い、「じゅ・・・・ 10人目・・・・!?」にはシビれましたよ、ホント。そうか、たまにメールの配信が遅れるのはそういう理由なのか・・・なんて、ね。
そうした話作りは、おそらく計算されたものではなくて、たとえばとらのあなの単行本発売記念の描き下ろしイラストカード、なんでえこじゃなくて会長を描くのかなあ、といったあたりがまた実に心憎かったりする、作者の「天然」なセンスによるものなのでしょう。
実際、「最新型の携帯電話が女の子」というプロットは分かっていながら、第二話くらいまでは「いったい何やってんだこのマンガ?」と思ってしまったのは、まさにそうしたことによるものなのだろうな、と。
ということで、帯コピーの「桜場コハルさんも大絶賛ッ!!」やら、とらのあなの「超新星」という煽り文句やらは決して大袈裟ではない、これからが楽しみな作品、作家と言えるでしょう。
Apr 16, 2006
西島大介「アトモスフィア1」
わたしがわたしのために、
あらかじめ、みんなを赦してるから・・・
西島大介さんの新作は、ある種の狡猾さとともに超感覚的なストーリーを読者に供することになる、いつもながらの「メタとネタと萌え」。
作者の内的世界、その深淵を描くという意味において、いまこの人ほどに純文学的なコミックの描き手はいないでしょう。
まして、いまそこで起きている「何か」をテキトーに描くことがこの人の作風であるのなら、作品の中で躍るキャラクターの存在感と、淡々と描かれてゆく妙なる物語世界は、その圧倒的なセンスと絶対的な力量に拠るものと感嘆するばかりです。
といった具合に、サブカルな人たちであれば、まるでそれが美徳と言わんばかりに賞賛するのでしょうけれど、この人の作品を読んで思うことは、その一歩先へと突き抜けられるのか、ということ。
存在理由と自我認識。
ドッペルゲンガーに出会ったのなら、そのもうひとりの「わたし」を殺さないと・・・
でも、どっちがドッペルゲンガーなの?
この物語にしても、またぞろ読者を突き放し、奇を衒っているだけのように受け止められかねない結末になるのでは、といったあたりが危惧されるところ。
だからこそ、そうした悪意のある評価など、呆気なくねじ伏せるような作品として完結することを、今週発売される続刊には期待しています。
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西島大介「ディエンビエンフー」
Mar 7, 2006
ベサメムーチョ・鳴子ハナハル「かみちゅ!」
アニメーション「かみちゅ!」は、舛成孝ニ+倉田英之+羽音たらくという強烈なスタッフによる「プロジェクト」であるように思え、そして第一回を観るやあまりのクオリティに感心してしまったものですが、さて、その放送開始前のこと。
「コミカライズを鳴子ハナハルさんが!」と、連載がはじまったときの電撃大王を勇んで買ったはいいけれど、ねねね萌えであること甚だしいほどにたらく絵があまりにもツボな身としては、複雑な思いとともに読んだところ・・・
うん、さすがの出来映えだ、と。
同人誌即売会では参加者が殺到するという、そのラベリング効果とかではなしに、鳴子ハナハルさんの力量がはたして炸裂。
とらのあなの単行本購入特典のイラストシートで、倉田英之さんが「女子中学生に対する魂は」と宣っているのは、方向がなんかちょっと違うような気がするけれど、いや、この人のマンガがエ■いのは当然だけど、とにもかくにものハイレベル。
まあ、単行本を改めて読み直してみると、野郎や八百万の神の描き方がぞんざいという気がしないでもないですが、ゆりえに光恵、祀の三人を、そして瀬戸内の町で繰り広げられる不思議な物語をどのように見せるのか、それが作品の骨子なのだから、画力といい構成の妙といい、まさにこのプロジェクトにはうってつけの起用であったと言えましょう。
かくしてオタク系の書店おけるこの第一巻の入荷量は途轍もないものとなり、さらに初単行本とあっては凄い売れ行きだったようですが、ともあれそうした局地的な読者だけのものにしておくのは惜しい、より広く読まれるべきな作品、そして作家であることは間違いないように思います。
Mar 5, 2006
しおやてるこ「チョコレート」
田舎の中学生、ユキヒロと、彼が憧れている東京からやってきた転校生のハルコ。
その恋の物語というよりは、東京との、そして少年と少女との「距離」の物語と捉えた方が適切であろうこの作品は、
「でもきっと・・・ 椎名ならダサイ制服もダサイヘルメットも似合う」
少年のそうした他愛のないモノローグも心地よく、また、携帯電話が繋がりにくい部屋の中で、
「さびしいよ。東京から忘れ去られていく感じ・・・」
と、悲しむ少女のこころの襞をゆっくりと、そして清冽に描きながら進んでいきます。
そして、遠くを見つめる少女が描かれている扉絵、少年が東京へ向かう電車を眺め、その音を聞く物語のはじまりの帰結として、「東京に行こう」と二人が電車に飛び乗るクライマックスへと至ることになり・・・
はたして彼らの思いのその先にあるものは、ハッピーなものなのか、それとも悲しい別れなのか。
読み進めていく中で、ちょっとしたスリルのようなものがあり、そしてそれは物語の作り手が、いま、そのときの登場人物を肯定するのか否定するのかに委ねられるわけですが・・・
そうした点で、ラストはちょっと弱いかな・・・という気はするし、脇役の描写をもう少し丁寧にした方が物語により深みが増したろうにと思ったりはするものの、油断して読むとその出来映えにびっくりすること請け合いの傑作であると言えるでしょう。
■ しおやてるこホームページ・しおちん http://www2u.biglobe.ne.jp/~shio-x1/
Feb 15, 2006
万乗大智 「サイレン」
映画「バイオハザード」のヒットが、ゾンビ復権の契機のひとつであったことを考えれば、「メディアミックス」という流行り言葉も、ゲームを巡るそれはホラー好きにとってはなかなかに歓迎されるべきものであると言えるでしょう。
「ハウス・オブ・ザ・デッド」のような、ヒロインの乳しか見どころのない ピ ー な作品もあるわけですが、映画の話はそれくらいにしておいて、さて、このコミカライズはと言えば。
日野日出志がトラウマだったり、諸星大二郎はやっぱ天才だよなあ・・・とかはあるものの、古典から最近の作品に至るまで、鮮烈な印象を受けたホラーコミックは多くはなく、この作品もやはり絵柄と導入部から旧態依然な印象を抱きながら読み始めたわけですが。
なにはともあれ小学館のコミック誌に掲載された作品、かつ「DANDOH!!」を描いた万乗大智さんの手によるものであれば、かつて朝日ソノラマあたりでマニアの寵愛を受けた類の作品と比べて、しっかりとまとまった作品であるようにまず思ったのは偏見でもないだろう、と。
特異なプロットであることから、キャラクター設定やその最期、そして物語の結末をあえて典型的なものにしているのも、きちんと考えられた仕事であるように思えます。
個人的には、ゾンビもののテイストが味わえるストーリーだけで万事オッケー!みたいなところもあるのですけど、ね。
あえて言えば、軸がぶれることなく展開する物語なのだから、もう少し残酷な描写があってもそれもまたアクセントになったろうにという気もするのですが、それこそ私見。
「それだけ」の作品が散見されることを考えれば、腰の据わった作りそのものをも堪能できるホラーコミックということで、お薦めの一冊です。
Jan 26, 2006
須藤真澄「長い長いさんぽ」
ゆずが「もう充分」って言うまで、
どうか誰もゆずを連れて行きませんように・・・ (「ゆず」第14話)
一緒に暮らした十六年の歳月。
自転車のカゴの中で、もう動くことのないゆずと一緒に歩き出した冬の日。
その長い散歩を描いた、ゆずとままの最後の物語。
いままでの作品がみな橙色の装丁であったのに、この本を空色にしたのは、ゆずが駆けた、ゆずとままが歩いた日々の上に広がっていた青空をあらわしているのでしょう。
もっと優しくできたはずなのに。
もっともっと、楽しい時間を過ごせたはずなのに。
猫と暮らした人たちはみな、そう悔やんだり悲しんだりするのでしょうけれど、その思いに「ありがとう」と、彼らはきっと微笑みながら、天国へと旅立っていくに決まってる。
ゆずも、きっと。
■ 須藤真澄ホームページ・おさんぽ王国 http://www.catnet.ne.jp/masumi/
Jan 25, 2006
小箱とたん「スケッチブック」
あの「ぱにぽに」でさえ、はじめのうちは「あずまんが大王」のデッド・コピーと貶されたもの。
氷川へきるさんの実力と実績をもってすらそうだったのだから、この作品がさらに辛辣な評価を受けることになったのはやむをえないところでしょう。
かつてふたば☆ちゃんねるに作品がアップされ続けていたことは、晒されていたのかファンがやったことなのか判断がつきかねるところですが、それはそれとして。
諸々のギャグやネタが、別のこのキャラでなくてもいいのでは?と、登場人物が多い理由がいまひとつ明確ではない点が気になるところで、さらに言えば涼風コンビの不条理ギャグはもはや見飽きた手口だし・・・と、なにはともあれ誉めづらいマンガであることは否めないように思えます。
ただ、改めて3巻まで、さらに出張版を読んで思ったのは、その独特のヌルさがだんだんと心地よくなってきたなあ、ということ。
「ギャグとして成立しているのか、これ?」という微妙なネタも健在で、氷川へきるさんの驚異的なセンスの対極にあるそれは、もしかしたらこの作者ならではの持ち味なのかもしれません。
アートのセンスがますます冴える神谷さんや、蘊蓄の尽きることのない栗原さん、はたまた影の薄さに拍車のかかる主人公の空と、この作品を読めば誰か一人はお気に召すキャラクターがいるでしょうし、寒い冬の夜にまったりと読むのにはなかなかにうってつけ。
キャッチコピーの「ほんわかと優しい気持ちになれる」という言い回しは、この作品の特長を端的に、そして的確に表していると言えるでしょう。
Jan 9, 2006
ドラマCD「みかにハラスメント」
台本をもらう前に読んでおこうと単行本を買いに行ったものの、周囲の目が気になってしょうがなかった・・・ orz という、みか役の那須めぐみさんのエピソードには、なるほど、アフレコ前にこの作品のテーマである乙女の羞恥心を味わったわけだな・・・となかなか萌えるものがあったわけですがそれはさておき。
アキバで話題騒然となった「みかにハラスメント」、その「えっちじゃないせかい」「子供のせかい」の二話と、オリジナルシナリオ「戦士のせかい」、さらに声優さん三人の対談が収録されているこのドラマCDは、当然のことながらアレなボイスが特盛。
「だいた~ん! 学校にパンツはいてきてるー!」だの「見えちゃう・・・」だのといった台詞に声が充てられているのはなかなか凄いものがあるので、音漏れのするヘッドホンで人前で聴くのは御法度です。
デキについては過度な演出もなく、冗長でもなく、ハマった人であれば満足できる内容。
そしてオリジナルシナリオは、羞○プレイ・飼○プレイ・幼○プレイときた原作を踏まえて、まあ一応「触手プレイ」ということになるのでしょうか。
人体には影響のない、服や下着だけを溶かす都合のよい粘液を出す触手というのは、水兵ききさんのピンナップポスター(初回封入特典)のイラストを含めて、お好きな御方はもうたまらないかもしれません。
ココア役の綱掛裕美さんが「1○禁ではありません!w」と対談で強調してはいるものの、ちょっとヤバスな気がしますが。
とはいえそれがメインではなしに、羽月が作り出した時空の狭間の世界に放り込まれたみかがどのようにして現実の世界に戻るかを、すべてのキャラクター(犬を除く)を登場させた上で作られたストーリー。
オチがアキバストーンであることを含めて、この作品のテイストを大切した、よくできたシナリオであると言えるでしょう。
ということで、このドラマCDで一連のムーブメントもさすがにひと段落かなという気はするものの、「強烈無比な熱い支持」のある作品であれば、アニメ化があるやいなや・・・
ということで、まだ警戒が必要なのかもしれませんね。なんの警戒かは分かりませんが。
Jan 5, 2006
私屋カヲル「こどものじかん」
とらのあなのメッセージペーパーで私屋カヲルさん曰く「恋愛経験値的には双方互角」、かわいい上に問題児の九重りんと、頼れる兄貴のような教師を目指したけれど・・・な青木大介のラブ・コメディ。
表紙イラストと、帯の「ちっちゃいけどすごいんだよ。」というコピーからなんとなく、読み始める前は「今日の5の2」のような話かと思っていたのですが・・・
隊長! これはヤバイくらいエ■いでありますよ!
どのくらいエ■いかというと、あの「みかにハラスメント」がヌルく感じられるほどで・・・!
といったもの言いは、こちらのヒロインが小学三年生であれば大袈裟に過ぎるでしょうけれど、だからこそのエロチシズムが全篇に溢れていて、もはや萌えのその先に行ってしまっているような気がします。
そして、萌えマンガだと思って読んでしまったらそれは作者の掌の上。
ツインテールやメガネっ娘といったあざといキャラクター設定は、作品の敷居を低くするための意図的なもので(とらのあな無料情報誌「とらだよ。」59号インタビュー)、少女たちの心の襞や、子供たちとどう向き合うかを考える教師たちがしっかりと描かれているストーリー性に感心させられることになるでしょう。
そうした巧妙さもさることながら、物語を思いつきだけで複雑にしたり、徒に伏線を張り巡らせたりといった嫌らしさがないことも好印象、なかなかに上質な仕上がりの作品になっています。
ということで、アキバのレンタルショーケースでは3,000円で売られているくらい、品薄が続く第1巻。
アキバBlogほかで話題になっているからという理由ではなしに、この売れ行きは作品の面白さゆえと思って、未読の方は書店で目にしたら素直に釣られておくが吉でしょう。
Dec 25, 2005
木尾士目「げんしけん」第7巻
巻を重ねるごとにキャラクターの魅力が増している上、ストーリーも「こちら側」の世界をより深く、より精緻に描いてきたこの作品も、第6巻では失速したように感じてしまったのは、第5巻があまりにも秀逸だったから。
勇気を出して、「私が・・・マンガも少し描きましょうか?」と言ったときの心のうち、さまざまな想い。
その荻上の健気さは、萌えるのを忘れてしまうほどに感動的でしたしね。
だからこそ、コミフェスへのサークル参加やオタク嫌いになった過去、そして笹原と交錯する想いといった、荻上を中心としたストーリーの第7巻は、面白さが立て直されたことに満足できる出来映えでした。
「本当に描けるの? この私の恥ずかしい妄想を・・・!」と、本音で大野さんと向かい合ったり、本が売れたことを喜ぶ笹原をつい見つめてしまったりといったシーンもさることながら、エ■ゲをプレイしながら荻上のコスプレを思い出す笹原という、普通のマンガではありえない描写もまた絶品と言えましょう。
ということで、この最新刊には、冬コミのハラシマを描き終えて安堵しているであろう腐女子のみなさんは勿論、荻上と青春しちゃったり風呂場で爆乳を披露したりと、このところイタかったりヒール役だったりした大野さん萌えの諸兄も満足されたことかと。
とらのあなの担当者が「荻上さんの同人誌、ぜひ委託させて下さい!!」とラブコールを送るのももっともですが、「もし笹原先輩が目にしたら・・・」と、卸しそうにはないですね。
Dec 16, 2005
佐々木少年「真月譚月姫」
「とりあえず夢魔のシーンではご飯が三杯は食べられますよね!」
「ていうか、それくらいゲームで見てるだろ?」
「アルクシナリオだけはクリアしてますからね!」
「・・・オタクとしてちゃんと全部プレイしろよ」
「うーん。今は『ToHeart2 XRATED』でそれどころじゃないしなあ・・・」
「インスコはおろか開封もしてない奴がなんか言ってるな」
「とまあ、そういう輩やオリジナルを知らない人たちを啓蒙する役割を担うほど、あるいは電撃大王の佐々木少年さん直筆サイン入りデジタルプリント誌上通販に申し込まなかったことをいまだに後悔しているほどに、デキのよいコミカライズなわけですよ。 orz 」
「その反省から最近は、電撃G's magazineのナイスガイ・ちゃんさまテレカやToHeart2ピンバッヂのために定額小為替を買いまくっているわけだな」
「それはそれとしてこの第三巻、アルクは可愛いわ秋葉は見せるわ、死者の描写も『ゾンビ』みたいでナイスだわ。さらに読ませるものになっているなあ、と。オタク友だちが琥珀さんを指して『腹黒萌え~!』とのたまう理由まではもうひとつ分からないままでしたけど」
「だからゲームをやれと。あとおまいら、アキバの万世で最萌やるのはかなりイタいぞ」
「彼らにも困ったものですよね」
「お前もだ」
Dec 5, 2005
西島大介「ディエンビエンフー」
ステップを踏むように殺戮を重ねる彼女のステージは、1965年のベトナムだった。
「世界一かわいい、ベトナム戦争」というコピーとは裏腹に、過激な殺人描写とシニカルな視点から描かれる戦争の狂気。
「ベトナム政府軍でも解放戦線でもない第三の存在、農民によって組織された精鋭特殊部隊」というまことしやかな噂が米軍内で囁かれるも、一個中隊を全滅させる力を持っていたのは十一歳の「姫君」。
狂気の中、ただひたすらに躍る彼女は可憐ですらあり、だからこそ従軍カメラマンの少年のハートには火が点けられて、そして「姫君」もまた少年を見つめる。
狂気と正常。
いつかお互いを知るとき、そこに在るものは何か。
また、もうひとつの狂気、「ツマンナイ・・・ もう少しマシな戦争をやろう!」と、戦地をクルーズするティムと「姫君」の来るべき邂逅のとき、そこで少年は何を見るのか。
「馬鹿みたいな嘘」ばかりを描くことで、まともな戦争の物語になるかもしれない。
西島大介さんのこの試みがどう映るかは読む人次第でしょうけれど、戦争の愚かさや悲劇といったいかにもなメッセージ性が皆無であることも清々しく心地よい、いまいちばん完結が待ち遠しい傑作です。
Nov 25, 2005
七瀬あゆむ「パチスロバカップル」
自分がネグラにしていた店には獣王やサラ金で立ち回っている男前な女の子がいたものの、ミツルのような美人が打ちに来るわけがなく、仮に隣りに座ったところで不二子の青7ビタ押しの成功率が7割というヘタレであれば、「お嬢さん、ボクが押してあげましょう (´ー`)y-~~ 」と声をかけたりするわけもなかったわけですが。
だから竜ヶ崎夏彦はある意味幸運なのではと思ったりするわけですが、それにしても新キャラまでが妄想癖炸裂、この第三巻でも相変わらずミツルがあんなことやこんなことをするシーンばかりというのは、ある種の潔さが感じられるというもの。
勝負ネタが多くなってストーリーのバリエーションが増えはしたものの、パチスロマンガ界の「ふたりエッチ」状態から脱却する気配は依然としてなく、とりあえず成人指定にした方が話は早いだろう、と。
孤高の人であった武藤さえも狂わせる魔力、ていうかあの激ヤバ!な乳がいけないのでしょうがそれはそれとして、例えば「タケトの父親は古書店主で売れない作家」といった設定がいろいろあるのだから、いいかげん話を膨らませようよ・・・と思わずにはいられないところ。
また、タマキたんハァハァなシーンがナースコスプレくらいしか・・・ (´・ω・`) といった個人的な意見はともかくとしても、七瀬あゆむらしさが楽しめる「あの頃のボク達へ・・・」がないことに、物足りなさを感じた人は少なくないことでしょう。
それでもとらのあなやK-BOOKSといったオタク系ショップでも平積みにされるのだから大したもの。
萌えスロ・萌えパチという言葉ができたり、アキバではこのようなティッシュを配っていたりと、「あやまれ!田山幸憲プロにあやまれ!」と憤りを感じてみたりする昨今ですが、まあ「アドリブのきかねー奴は勝てねえ!」とか「スロは気合や!」とかいうマンガばかりでもなんなので、これはこれでいいのでしょうね。
Nov 10, 2005
桜場コハル「みなみけ」
話作りの上で性差を意識しすぎた嫌いのある「今日の5の2」に比べて、「小学生・中学生・高校生を取りそろえた」ことによりキャラクターやストーリーに拡がりが出た結果、セリフの妙や特異な空気がより冴えているのが本作品。
この手のマンガでありながら掲載誌がヤングマガジンであることや、やはり「あずまんが大王」を連想してしまうテイストについて一家言ある方もいるでしょうけれど、巧妙さを増したその手口は三姉妹に萌えている暇もないくらいの面白さ。
色眼鏡で見たりせずに、素直に楽しんだ方がトクであることは間違いないでしょう。
そしてこの第二巻は、なんと言ってもハルカの「全身をゆるめていくようなありえない制服の脱ぎ方」だけでも買う価値があるというもの。
登場人物の区別がつきづらいという問題も、繰り返し読むことにより克服してこそ漢。
まあ私の場合、ハルカの友人とチアキの友人を混同するという、オタクにあるまじき体たらくだったわけですがね・・・
ところで、発売初日で完売する店が続出した限定版。
発売翌日に発見して、「これはもうアレだな。限定版を買おう」と値段を見ずにレジへ持っていったところ、「2,999円です」と言われて「あい?」となった私。
いつもながらのオタクの業、まあいいやと思いはしたものの、出荷数がおそらく少なかったのはその値段ゆえか・・・と納得したり、「桜場コハルPACK」に2,460円の価値が見いだせるかと言えば・・・といったカンジは否めないよなあ、と。
などとブツブツ言いながら、PCの壁紙はのんびりしているハルカさんにしましたけどね!
Nov 1, 2005
しゃあ「キョウハクDOG's」
ねこバス停を知ったのは四年前のこと。
レヴォはともかく、MOON PHASEですら島中だったサークルが、瞬く間にコミケのシャッター前へと駆け上がったことに驚きはしましたが、その一方でそれはとても自然なことではあるなあ、と。
面白い本を作ろう、そうした思いがねこバス停の同人誌には溢れていて、しかし公式サイトにある通りおそらくは「適当」にやっているであろうことがしゃあさんのセンスの凄み。
絵のうまさや話作りの絶妙さもさることながら、そうしたあたりも人気の所以なのでしょう。
しかし、電撃帝王創刊当初に掲載されたオリジナル短編のデキたるや ピ ー
やはりそれこそコミカライズの方がいいのでは・・・と、あまり期待せずに読むことにした本作は、帯に「私の奴隷(イヌ)になってください・・・」とある通り、気弱なヒロインの脅迫から始まるラブコメディ。
「またオタクネタですか」と思わずにはいられないし、ギャグであれシリアスであれ、ストーリー展開はいかにもオーソドックス。
少なくとも声高に誉めるわけには・・・というのが正直なところですが、独特の画風と、コマやページの隅々に施された細かな芸が相まって、この人ならではのコアな世界が繰り広げられているのはさすが。
絶対領域を装備したせつなに萌えるもよし、ケイに「ペ○野郎」と罵られたいと思うもよし(よくないな)。
まあ、読む人の度量が試されはするでしょうけれど、少なくともねこバス停の本の楽しさは、この作品でもうかがい知ることができるように思います。
Oct 25, 2005
AQUAPLUS・御形屋はるか「ToHeart2」
ついふらふらとデスクトップアクセサリーとXRATEDの予約をしていながら、オリジナルをいまだにプレイしていない私は「道に外れると書いて外道」なのかもしれず、「やっぱ全年齢版もプレイしておくべきかなあ・・・」とオタク友だちに訊いたところ、「必要ないって。むしろわざわざプレイしたヤツが負け組だよ」とのお言葉。
さすがにそれは違うんジャマイカ・・・と思うし、アニメすら観ていないのはやはり 人 オタクとして間違っているような気がするので、コミック版の単行本をとらのあなで目にするや即座に購入。
「限定版」であることに釣られたとも言えますがそれはそれとして、さて、世間様に倣ってタマ姉に萌えることにしましょうか。
この作品もまた、およそオリジナルの絵柄とはかけ離れたコミカライズではありますが、キャラクターがテンポよく物語の中を駆けているのがいい按配。この手のコミックにありがちなしょっぱさも感じなかったので、生粋のファンも楽しめたのではないでしょうか。
また、やっぱ幼なじみキャラだよなあとか、友だちのお姉さんハァハァなどといった、今さらかつイタい感想はともかく、愛佳にフラグが立つ過程がきっちり描かれているのもいいカンジだなあ、と。
ということで、第一巻に収録されているのはそこまで。
12/9に向けての予習としては甚だヌルいとは言えましょうが、続きはゲームを楽しみに待つことにして、次は特典DVDを拝見するといたしましょう。
このみ役の落合祐里香さんがいちばん胸が大きいのはいかがなものか・・・とか、力丸乃りこさんのトークは絶妙なのに あとの二人は・・・ といった余計なことを考えつつも、登場人物のキャラクター性やToHeart2の世界観に当然ながら触れているのが個人的にはありがたかったところ。
この一冊でとりあえず、それほどの「外道」ではなしに、XRATEDのリリースを迎えられるような気がしたのですがいかがでしょう?
Oct 23, 2005
瀬尾浩史「アキバ署!」
表紙や扉絵でヒロインの久遠あまねを見るや「読子さんですか?」と思ったり、第一話の女子高生・神崎千夏には「令ちゃんそのまんまやんけ!」と突っ込みたくなるのは、オタクのみなさまほぼ同様であったことでしょう。
野郎の刑事はステレオタイプだし、絵柄はやはりどうにも古臭い印象。
ストーリーにしても、初手からWinnyネタですかそうですか・・・と、そのベタ具合に読み始めてすぐ('A`)ヤレヤレなどと思ってしまったわけですが。
まさかあのような過激なネタであるとは思わず、あまねのパワーが炸裂するシーンや千夏のパニック、伊武一弥の漢っぷりといったキャラクター描写の絶妙さや、よく練られたストーリーと構成に唖然。
また、クライマックスにおける、
「セキュリティホールだらけなんですよ! この国の法も!社会も!それを使う人間も!」
というあまねの啖呵も絶品。
それこそ「R.O.D」やらなにやら、どこかで読んだような話のごった煮であるようなイメージは拭いきれませんが、とにもかくにも第一話は「冗談だろ・・・」と思うほどの出来映えではありました。
しかし第二話以降を読むに、スクリプトキディライブにせよメイド+エウリアンネタにせよ、なんかこうアキバの喧噪や混沌の実際はいまひとつ描かれていない感じが否めず、無理にタイトルに謳うのはいかがなものかと・・・という気が沸々と。
「R.O.D」は本がテーマの物語だから神保町が勿論似つかわしいけれど、この作品の場合は変に狙わず普通のサイバーアクションとして描けばいいような・・・
第一話があまりに秀逸であったことと、そのあとのあまねの活躍がイマイチであることを含めて、どうしてもそうした感想になってしまう上、巷のそれは過大評価ではあるまいか、とすら思ったり。
バーチャルな世界と秋葉原のリアル、その対比をより丁寧に描くことにより、この先化ける可能性は秘めているように思いますが、現時点では並の作品であるような気がします。
まあ巻末の次巻予告、そこに収録されるであろう物語のあらすじを読むに面白そうではあり、そうまで酷評するべきではないかもしれませんけれど、ね。
Oct 13, 2005
犬威赤彦「MURDER PRINCESS」
どうしても「萌え」と切り離しては考えづらい犬威赤彦さんの新作がヒロイック・ファンタジーであると聞いたとき、うーん、どんなもんだろうねえ・・・と懐疑的だったのは、やはり「マンガ」の描き手としての技量を訝しく思っていたため。
マンガで要求される画力とは「イラスト」では決してなく、構図やコマ割り、そして動きがどれほどに描けているか。
文句なしに綺麗な絵ではあるけれど、「こみっくパーティー」は出来のよさをシビアに要求されはしない作品であり、たとえその最終巻、特に詠美シナリオが相当に見せるものであったとは言え、そうした点に難があったことは否めないでしょう。
しかし、この作品は「これが犬威赤彦?」と思うほどの出来。
ストーリーそのものはヘンにひねることもなく正攻法、とりたてて誉めるほどではないと思いますが、いちばん心配されたアクションシーンこそがかなりのもの。
描き手もいちばん気合が入るであろうアリタ姫の殺陣は、構図も動きもよく練られた上で描かれている感じで、萌えるというよりは格好いいなあ・・・!と、感嘆した人は少なくないのでは、と。
まあ、プロットやキャラクターデザインは「狙ってるなあ・・・」と、そのあざとさに「飛翔ですか?」と突っ込みたくなるものがありましたが、そういうインネンをつけたくなるくらいのレベルであったことは正直意外、それが読後にまず感じた感想でした。
ただ、最後に登場するアリタ姫の兄が物語を凡庸なものにしそう・・・というのは私見であるにせよ、この先の展開が漫然とならずに読む者を楽しませてくれるのか、なまじこの第一巻がよくできているために、そうした点が若干危惧されるところ。
「虐殺姫」の手綱をしっかりと御した上で見せるべきものを見せること、それがひとえにこの作品、そして犬威赤彦さんの作家性を問うことになるでしょう。
Oct 7, 2005
コナミ・まったくモー助「極上生徒会」
コミティアに行った折には、初手は概ね斬鉄剣。
その画力もさることながら、ファンタジーであれコメディであれ、まったくモー助さんの描くコミックは正攻法であり、そして独特の空気を持っているところが魅力と言えるでしょう。
しかし、この作品を初めて見たときには「本当に彼女の絵なの?」と思う始末。
アニメの絵柄に合わせたからなのでしょうが、モー助さん本来の味わいを欠いているように思えてなりませんでした。
アニメであればスピード感を楽しめるのかもしれない話であっても、そうした違和感とともに読むとなんかこう、出来損ないのマリみてのような・・・といった印象、ていうか暴言すら出てこようというもの。
まあ、カバー下とか、単行本化にあたってのコメントはやっぱり夢唄さんですかとか、そうした点を含めた全体的なデキはさすがに悪くはないのですが・・・
そこで斬鉄剣の最近の本を読み直してみたところ、「無毛天使てんぷるちゃん」(2004年冬コミ)に、
「仕事となると、やはり自分の好きなものを描く機会は少ない」
また、「Character Box.」(2003年冬コミ)では、
「ファンタジーで好きなものを描いていいと言われて嬉しかった」
といった文章があったのですが、そうしたことから、この作品を彼女はほんとうに楽しんで描けているのかどうか、やはりどうにも気になるなあ、と。
サイトに寄せられたWeb拍手のコメントはさすがに好意的なものばかり。
アニメを観ていない人間があまりこうしたことを書くのはどうかとも思うし、そのファンが楽しんで読めたのならなにも問題はないのでしょうが、そういうわけで個人的には、このコミカライズはミスキャストでは・・・という思いが拭えないというのが正直なところです。
Sep 22, 2005
コミック版「電車男」をまた読み比べてみる
青年誌に掲載されたマンガ版「電車男」三作品、それらの第一巻がほぼ同時期に発売されたときの個人的な評価は、
渡辺航版 > 原秀則版 >> 道家大輔版
といったところ。
そして、原秀則版(ヤングサンデー)が完結、渡辺航版(チャンピオンRED)・道家大輔版(ヤングチャンピオン)の第二巻が発売されたいま改めて全てを一気読みしたところ、さすがに頭がクラクラした上に、「オリジナルはどうだったっけ?」と原作まで読み直してさらに混乱してみたりしたわけですが。
しかし、だからこそ物語のクライマックス、エルメスの名台詞が炸裂するシーンをマンガで読むと、原作に比べてよりグッとくるものがあったのは新発見。つまり、原秀則版は過不足のない構成と展開で、見せるべきものをしっかりと見せてくれたと言えるでしょう。
そうした正攻法の対極にあるのが渡辺航版、帯で「今、アキバで一番売れている『電車男』!!」(とらのあな・ゲーマーズ調べ)と謳われているのは至極もっとも。
しかし、これはちょっと・・・と思ったエルメスの■リぶりが補正されていたまではよかったのですが、その一方でスレの住人である中学生の女の子が前面に出てくるのはあざといような気がする上に、エルメスが痴漢に遭って悩んでいるというネタが、二人が緊密になる大きなきっかけとなる描写はちょっと心得違いをしているような印象。
巻頭のカラーイラストや、カバーを外した表紙に描かれたカットなどをみるにセンスはあるように思うのですが、作品そのものについてはいかに私がアキバ系のはしくれであっても、誉めるのはちょっと苦しいものがあるなあ、と。
道家大輔版は、エルメスの天然ぶりや女友達のキャラクターが、原秀則版・渡辺航版に比べて魅力的に描けているだけに、どうにもスレの盛り上がりの描写が鬱陶しいのが問題、そのせいで電車のキャラクターやその葛藤が、希薄なものになっている印象が拭えません。
渡辺航版の雲行きが怪しい上、クライマックスのエルメスは見ものだとは思うのですが、逆転があるかどうかは微妙であるような気がします。
ということで、原秀則版が完結しているので同じ俎上ではないわけですが、
原秀則版 >>> 渡辺航版 > 道家大輔版
というのが、翻意した現時点での個人的な評価です。
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Sep 15, 2005
Key・桂遊生丸「AIR」
「『AIR IN SUMMER』のDVDリリースを待つ間にと、今さらですが読んでみましたよ」
「表紙の絵を見て一旦スルーしたくせに、すっかり鍵っ子ですね」
「ていうか、『魔法遊戯』や同人誌は読んだことがあるのですが、こういう絵でしたっけ?」
「相変わらず見事な半可通ぶりですね」
「いっそ森嶋プチさんの『Kanon』のように、清々しいくらい違うのならそれはそれで!なんですけどね」
「でもまあ、ゲームの原画通りの絵でコミカライズされるのも・・・」
「メガミマガジンのインタビューで『自分の絵が動いているのに感動した』と仰ってましたが、そりゃあそうだよな!」
「その話題はそのへんにしておいて、そろそろ真面目な感想を」
「とりあえず、過度な脚色もなく真面目に描かれているなあ、と。観鈴が佳乃たちの前でパニックを起こすシーンの構図やコマ割り、モノローグなどもよくできていますし」
「やはりパニック寸前になるのを堪えて、でもそれはとても悲しいことなのに『笑おう』としたくだりなんかもいいですよね」
「でも全体的には、なんていうか、コクやキレがいまひとつという感じは否めないなあ、と」
「まだ第一巻ですし、物語が本格的に動き出していないからというのはあるでしょうけどね」
「ただ秀逸だと思ったのは、カバーを外した表紙と裏表紙のイラストに添えられた文章。観鈴・佳乃・美凪の三人が他愛のないおしゃべりをして、そして『まるで友達のように笑った。』というのはかなり上手いなあ、と」
「まずカバーを外すというオタクの基本動作が、本編がイマイチという感想に繋がったということですね」
「あ、そうそう。巻末に収録されている『外伝』は余計。見なかったことにしよう・・・と自分に言い聞かせていた、かの練馬クオリティが思い出されてしまいましたよ」
「だからそういうオチはやめなさいって」
Sep 6, 2005
あずまきよひこ「よつばと!」
何かの間違いで読んでしまった非オタクの友人が「榊さん萌え~!」とほざきやがったほど、あるいは神楽萌えが増殖した体育祭の話(第四巻収録分)が掲載された電撃大王の発売日には、2ちゃんでは実況板もかくやという風速となったほどに、「あずまんが大王」はまさに「原因不明の大ヒット作」。
だからこそ、あずまきよひこさんの新連載はいろいろな意味で注目されたわけですが、大方の予想通りにその主人公は「Try! Try! Try! 」のよつば。
その「ととと」ではふーかがとーちゃんを好きだったり、あさぎがそれほどやさぐれていなかったりで、連載にあたり三姉妹のキャラクター設定を変えて、もしくは練り直してきたわけですが、はたしてそれは奏功した印象。
「あずまんが大王」で時折見られたキャラクターに頼った話作りが鼻につくこともなく、そして作中に漂う独特の空気、原因不明の面白さは健在。「所詮序ノ口譲二だし」とか「マヤーの話はやらかしたしなあ・・・」といった黒い期待、ファンの不安を覆したと言えましょう。
ということでこの第四巻については、相変わらずふーかが不憫なのがとりあえずグッジョブ。
また、三巻の報復とばかりにジャンボがみうらをからかいまくるあたりにウケつつも、よつばとひまわりを探しに行くほどに、あさぎがさらにいいお姉さんになっているのもいい感じだなあ、と。
四十ページになんなんとするような話でも冗長になることなく読ませてくれるのは、キャラが立ったあとはただただ面白くなるという、作者の匠の技によるもの。
改めてよく出来た作品だなあと今さらながら感心してしまいました。
しかし「つくつくぼうし」が鳴き、夏休みは残りわずか。この物語ももうすぐ完結してしまうわけですがのかもしれませんが、それを寂しいと思う必要はまずないように思います。
よつばが、夏の次は春だと思っているように。
おそらくは、読者がみな「すっげー おもしろかった!!」と、晴れ晴れとした気分になるような最終回で締めくくってくれることでしょう。
Aug 23, 2005
綾辻行人・佐々木倫子「月館の殺人」
ミステリーファンの友人に綾辻行人の話題を振るとそりゃあもうやかましく、「密室が密室が密室が」だの「我々がいかに『暗黒館の殺人』を待望していたか!」だのを熱く滔々と語って下さるわけですが、それはそれとして新本格の旗手と佐々木倫子のコラボレートは、はたしてどのような物語を見せてくれるのか。
連載当初から話題になった作品であれば、その単行本刊行にあたり小学館はJRの扉に広告を貼るまでしているし、新宿の紀伊國屋書店では一階の新刊ミステリーコーナーにまで並べられている按配。
IKKIなどというマイナー雑誌に掲載されている作品なのにな・・・という気がしないでもないですが、だからこそこれほどに注目されているというのは大したものなのでしょうね。
まだ見ぬ祖父に会うために、女子高生・空海(そらみ)を乗せて北海道を走る夜行列車「幻夜」。
そして起こる殺人事件、被害者の部屋には「首都圏連続殺人事件」の犯人が現場に残すものと同じサインが記されたカードが・・・
読んでまずあれ?と思ったのは、佐々木倫子特有の空気が漂うギャグがひたすらに炸裂していること。
その絵柄とこのあらすじ、原作が綾辻行人なら、さすがにシリアスで来るだろうと思っていた自分が甘いのでしょうが、一歩間違ったらクララやラッシーが闊歩したりクラゲが宙を舞いかねないテイスト。
とりあえず、「動物のお医者さん」や「おたんこナース」を知らずにこの本を買った綾辻ファンはなにごとかと思ったかもしれません。
そしてストーリー自体は、さすがにこの二人であれば面白く読めるのは当然。
ただ、(ネタバレにつき背景色テキスト→)犠牲者が意表を突いたものであるのはいかにもという気がするなあ、と思ったりはしましたが、綾辻作品はよりにもよって「殺人鬼」しか読んでいない上、その文章の中に仕掛けられていたトリックが見破れなかった人間が駄文を連ねるのも詮ない話。
佐々木倫子ファンなら彼女独特のセンスは健在、原作付きであることは無関係に楽しむことができるでしょうし、殺人現場は密室ということで綾辻行人ファンも納得できる作品であることは間違いないように思います。
Jul 21, 2005
タカハシマコ「水色ノート」
「新刊コーナーで『TOKYO TRIBE 2』の横にあったから普通のマンガだと思ったら、思い切り大きなお兄ちゃん向けでしたよ」
「帯に『お兄ちゃん なんでもするから』などと書いてあるのを見ているくせに、どの口でそういうことを」
「まあ、この人のBLの同人誌も持っていたりするわけですがね (´ー`)y-~~ 」
「アンタ、最低だよ」
「ともあれ、羽海野チカもかくやというキャッチーな絵柄で、これでもかと■リな話が続くのはなかなか趣がありました」
「そういう発言はやめておいた方が身のためだと思うのですが」
「で、さすがは同人出身、男性向けとしてのツボを心得ているのには感心しましたよ。巻頭の『妹屋』などは、オチを含めていかにも男性作家が描きそうな話ですし」
「『となりのばんごはん』なんかは作品的にもよくできていますしね。ただ、どこかで同じような話を読んだような気はするのですが」
「あなたの発言もどうかと思いますが、何はともあれ、やたら薄っぺらい人間ドラマを描いている相方よりも、センスや話作りの上手さが数段上なのは間違いないですね」
「微妙に相方ではない上、いいかげんにしとかないとヤバイと思います」
「ということで、連作の『ココアシガレット』もキャラの交錯ぶりが凝っていて楽しめますし、ギャグからシリアスまで、飽きさせずに読ませてくれるのでなかなかにオススメかと」
「この本をネタにするのもさることながら、サイドバーの『ないしょのつぼみ』もいいかげんsageるべきだと思いますよ」
Jul 4, 2005
高橋留美子傑作集 赤い花束
「高橋留美子劇場」で唯一単行本未収録だった「日帰りの夢」(2000/5)をはじめとした、ビッグコミックオリジナルで発表された六作品を収録した短編集で、1999年7月の「専務の犬」以来実に六年ぶりの刊行。
「Pの悲劇」が1994年1月、そこに収録されている「浪漫の商人」が1987年7月の作品であることを考えると、「犬夜叉」世代がこれらの作品を読んだ場合どのような感想になるのかというのは興味深いところですが、さて。
高橋留美子についていま論じる場合、ありがちなのは「めぞん一刻」や人魚シリーズ、あるいはこうした短編作品を引き合いにして、「犬夜叉」を批判したりする、所謂老害。
絶対的な意味で「犬夜叉」を賛美するつもりはないのですが、しかしこの「大人のホームドラマ」と称される短編群についても「お礼にかえて」(1998/2)を境に、天才・高橋留美子らしからぬ出来であるような気がしてなりません。
個人的なベスト「茶の間のラブソング」(1996/2)のような感動もさることながら、「Lサイズの幸福」(1990/1)のエンターテインメント性に感心したり、「浪漫の商人」では「『めぞん一刻』みたーい(*゚ー゚)」と人物描写の上手さに嘆息したりと、あの手この手で読む者を楽しませてくれるのがるーみっくわーるど。
しかし今回刊行されたこの短編集は、「茶の間のラブソング」のプロットを焼き直しただけに思えてしまう表題作「赤い花束」(2002/6)をはじめ、そうした高橋留美子にしか描けない世界観がさらに喪失されている印象が拭えません。
「高橋留美子劇場」の中でも出色の出来映え、若き日への憧憬と現実を描いた「日帰りの夢」と、老人介護というよりは父子の繋がり、息子の心の救済を描いた「ヘルプ」(2003/5)は秀作だとは思うけれど、あとは・・・といった感じなのですが、それは勿論、彼女が日本のコミックに与えた影響を考えればこそ。
amazonのレビューも概ね好意的だし、確かに良作揃いなのでしょうが、この人の本来の力量を考えると・・・ その点を「犬夜叉」世代が誤解しなければいいのだけど、というのも読後の感想だったりします。
Jun 22, 2005
木尾士目「げんしけん」第6巻 特装版
発売日(6/23)を前にしてamazonが在庫切れなのはともかくとして、マーケットプレイスでのお値段たるや只今(6/22 23:00)2,400円~5,000円。
開始価格は1,800円が相場のヤフオクの方がまだマシかもしれません・・・って「マシ」もなにもないわけですが。
本件に関して友人曰く「講談社なんだから『ちょびっツ』のようにそれなりの出荷量になるんじゃないかなあ・・・」。
確かにもっともで、とらのあなをはじめとするそういう書店には十分な入荷数がありそうだけど、例えば秋葉原のゲーマーズ本店では「予約不可」と掲示していたりしたことに危機感を感じたオタクの業で、フライング販売のメッカ・神保町へ。
第6巻の入荷は本日(6/22)ながら、しかし19時時点で靖国通り沿いの某書店にもすずらん通りの某書店にも特装版は見当たらず。
で、裏通りの某書店に行ってみたところ、レジ売りで一人一冊限定になっているのを無事ゲット。なんでこんな気苦労を・・・ orz
それはそれとして問題の特典はと言えば、八雲剣豪さんの手による「げんしけんの女性キャラ」が表紙というところがまずナイス。
本文については、個人的にいちばん面白いと思ったのは志村貴子さんのマンガだし、ももせたまみさんの描く荻上もかわいいしで、腐女子がいい仕事をしている感じ。
氷川へきるさんの会長&いづみがはわわ・・・な感じで拝めたのにも満足ですしね。
また「同人誌」であれば、うたたねひろゆきさんがトリを務めた上、内容も一応は男性向けになっているのも、ちゃんと考えて作られているなあ、と。
と言いつつ全体的には、同人誌と言うより「祝単行本!」とかでよくある寄稿を集めたようなもので、この第6巻が「げんしけん本」だとすると、そのゲスト原稿を集めたもの、といった印象。
むしろ同人誌的だと思ったのは、後書きが編集者と架空キャラによる対談形式で、(ノ`□´)ノ⌒┻━┻ などとAAが使われているあたりだったり。
あ、ちなみに単行本派の方は先に本編を読んでおかないとネタバレ危険です。
ということで本編を含め堪能したわけですが、表紙が違うことだし、スク水の大野さんのイラストカードがもらえることだしと、明日は明日でとらのあなに通常版を買いに行く予定の私。オタクの業ってやつは・・・
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Jun 11, 2005
氷川へきる「まろまゆ」
この作品のためだけに電撃萌王を買うのは、いろいろな意味でキツいものが・・・ていうか、VOL.3のあたりで挫折しているので、ようやくの単行本化は喜ばしい限り。
ただ、よつばスタジオの装丁はネタとしてはなかなかだけど多少ベタ。
どうせなら「あずまんが大王」に似せた方が、「こみっくパーティー ビジュアルファンブック」であずまきよひこさんが描いたベッキーとメソウサの可愛さを見て鬱になったという氷川へきるさんも喜んだのでは?
・・・といった無理矢理なツカミはさておき。
「ぱにぽに」では姫子萌えなので、くるみが主人公というのは極私的な意味でも実に地味。
でも、体操着にハッピは萌えGメンが来るのは実にもっとも、とりあえずご飯が3杯は食べられるかと!
それはそれとして、電撃大工や妖怪家族はツボだし、同時収録の「桃組っ !!」も面白いし、相変わらずのキレっぷりが十分に堪能できる内容。
とらのあな池袋店には平積みが6~7列あったのもむべなるかな、みたいな。
しかし、「萌え」を意識したりしなかったりという差異はあるものの、展開されるギャグは「ぱにぽに」と文法がほぼ同じ。
「こみっくパーティー」」と「終末の過ごし方」をモチーフにした同人誌「7 JULY」では詩的表現を織り交ぜて、シリアスなシーンを上手く描いていたそのセンス、力量を考えるに、そろそろ方向性が異なる作品が読みたいというのがもうひとつの感想。
商業で成功するのは喜ばしいことだし、来週発売の「ぱにぽに」第7巻ももちろん初回限定特装版を買いますが、スパイシー大作戦の新刊をしばらく読んでいないこともあれば、とりあえずは「ぱにぽにだっしゅ!」をひとつの区切りにしてもらいたいなあ・・・と、その「基本的な性能の差」に惚れているファンは思ったりしたわけです。
Jun 4, 2005
すもももももも (1)
武術家の息子でありながら武術の腕前はおろかまず勇気というものがない少年・孝士のもとに、同じ境遇でこちらは必殺技の限りをつくす少女・もも子が、最強の子孫を作るべく「子作りをしましょう!」と押しかけるところから始まる物語。
そして東西の武術家の抗争が勃発して二人のもとには全国から刺客が・・・と、タイトルから普通のラブコメだと思って読み始めてあれっ?となったのは私くらいかもしれませんがorzそれはともかく。
表紙につられて買ったりすると、本編におけるもも子の崩れっぷりになんだかなあと思ったりするわけですが、「必殺技」とか言わない委員長には萌えられるものがあり、巳屋本いろはの登場が待たれる第二巻ではそうした要素はなおのことではありましょう。
しかし肝心の物語そのものは、さすがにどこかで読んだような・・・といった印象。
「だってあの女竜出すぜ・・・」と怯える不良や喋るサッカーボール、武術家=変態というレトリックなど、ギャグの小技は面白いのですが、孝士がもも子をきっかけに強くなっていくといったプロットにせよ、やはり独自性を欠く感は否めません。
従い、この後のストーリーをどのように展開させてどのように見せるか、話題先行の嫌いがあればそこには読者を唸らせるくらいのクオリティが要求されるような気がします。
なにせ第一話がいきなり「私と・・・セッ○スしてください・・・」だったし、そうした点への期待もいまひとつ肩すかしでしたしね。
ところで秋葉原ではつつがなく品切れ、amazonも在庫切れで6月下旬発送予定とのこと。この点についてとりあえず言えることは・・・スクエニ、みかハラ商法はやめれ。
すもももももも ~史上最強のヨメ~ (1)
ヤングガンガンコミックス (スクウェア・エニックス)
大高 忍 (著)
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Jun 3, 2005
ハツカネズミの時間 (1)
檻の中で歪められた日常。身体や精神を蝕む悪しき存在に気付いたその時、ハツカネズミたちは外界へと走り出す。
冬目景の新作は、いつもながらの圧倒的画力と緊張感を欠くことのない展開。
槙が平生感じていた違和感は桐子の意志の前に氷塊し、そして椋が予感した嵐が訪れる・・・
物語は決して急くことなく、例えば歪んだ現実からの遁走のはじまりを、茗が薬を飲もうとするのを槙が止めることで表現する、そうした繊細な描写を織り交ぜながら進行していきます。
そして、
「この日常全てを失ったと・・・ わかっていたつもりだったのに・・・」 (「羊のうた」 第9話)
抗うことのできない宿命の前に崩れてゆく日常、そしてその先には絶望しかない「羊のうた」との対比の妙も、この作品の面白さのひとつかもしれません。
もちろん、愛とはなんぞや?な「イエスタデイをうたって」と比べるのもまた一興ですけどね。
しかし、「羊のうた」における血のエロチシズム、「イエスタデイをうたって」に覚える共感、といった付加要素を欠く点がやや物足りないところ。
まあ、それはまだ物語が加速していないことによるもので、この作者独自の世界観の発露はこの先にきっとあるはず、今はまたさらに掲載誌が変わるとかしてややこしいことになりませんように、と祈るくらいで十分でしょう。
ハツカネズミの時間 (1)
アフタヌーンKC (講談社)
冬目 景 (著)
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May 29, 2005
水兵きき「みかにハラスメント」
限定生産というわけではないのにamazonマーケットプレイスではプレミアム価格、アキバでは長い間わざわざ品切れと掲示されていた問題作がようやく増刷・・・されることは分かっていながらそういう本屋へ行くいとまがなく、また瞬殺されていませんように・・・と祈りながら週末にとらのあな新宿店へ。
アキバBlogさまの情報によれば、店頭に並び始めてもう三日以上経っていたけれど無事ゲット。
ていうか同人誌とかならともかく、なんでコミックスを買うのに苦労しないといけないのさ・・・と思いつつ、帰宅後早速ビニールパックをハァハァしながら破ったわけですが。
まず、この手のコミックスを読む際の基本動作としてカバーを外してみたところ、いいのかこれは、と。
そして表紙をめくるなり、いいんですかこれは、と。
本編に入る前からして少年誌に掲載された作品にあるまじきエ■さ。
そしていざ本編を読んでみると、噂に違わぬけしからん話が続くわけですが、作品の方向性もさることながら、絵柄や画力についての印象は赤松と丸川と永野を足して4で割ったような感じ。
それがかえって読む者をそそるところがあるわけですが、○○プレイやら○射やらは意識してやっているにせよ狙いすぎな印象。
ぶっちゃけそういう用途にはそういう本を買えばいいわけで、あまりにも話題になった作品であれば「まあ、こんなもんか」といった感想ではあったのですが、拾いものだったのは同時収録されているもうふたつの作品。
「転校生」というか「らんま 1/2」というかなストーリーをみかハラ同様エ■にふった「かすみ♂(オトコノコ)」、正体がバレている正義の味方と、人の心が読めてしまうことに悩む少年を描いた「魔法少女るかなー」。
両作品ともに登場人物のキャラクターを活かしきった上、テンポよく起伏のある展開とギャグ、そしてほのぼのしながらもキレのあるラスト。徒に奇をてらうことのない話作りにはかなり好感、どれほどのエ■ぶりなのかを目当てに買った本でありながら、むしろこちらの佳作ぶりが読後の印象に残ってしまいました。
ということで、いろいろな意味でオススメの一冊。また品切れになって増刷を待つ羽目になったり、お上のチェックが入ったりする前に是非ゲットしておくべきでしょう。
amazonではいまだに在庫切れになったり発送可能になったりしてますしね・・・( ゚д゚)
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ガンガンNET http://gangan.square-enix.co.jp/
May 17, 2005
コミック版「電車男」を読み比べてみる
まずは原秀則・ヤングサンデー版。
帯で「青春の巨匠」と謳っている通り、二十年以上ラブコメや恋愛ものを描いてきた人の手によるものであれば、さすがにソツのない出来。
ただ、オリジナルの持ち味を殺さないように無難にまとめている点は評価されるべきではありますが、展開や台詞回しが幾多のラブコメとそう大差ないものに映る、つまりは新鮮味を欠き、ネット上で進行する純愛物語という特異性が喪失されている感も少々。
冒頭の電車も、冴えないけれどルックスそのものは悪くなく、ただ気が弱いだけでアキバ系に見えない点も気になるところ。
とは言え、やはり手慣れているだけあってエルメスの描き方はうまいし、スレの住人たちが登場するのが「贈られたカップはHERMES」という燃料が投下された時点という芸の細かさも上々。
2ちゃんもオタクの世界もよく分からないという人が読んだとして、一番楽しめるのはこれなんでしょうね。
道家大輔・ヤングチャンピオン版は、いかんせん絵が上手いわけでも味があるわけでもないのがまず損をしそうだなあ、と。
内容はオリジナルに概ね忠実で、いま勇気を出さなければ、自分を変えなければ・・・という電車やスレの住人の思い、想像していたイメージと異なる再会時のエルメス、スレッドに書き込まれたレスの数々、といった描写がしっかりとしているのでそう悪くはない出来。電車の変身ぶりも上手く描いていますしね。
しかし、エルメスの名台詞を徒にカットしているのがまず気になるところで、スレの住人たちの描写や描き文字がくどい、コマ割りやギャグのセンスも誉められたものではないといった点を考えると、この先の物語をどのように読ませてくれるのかが楽しみに思えない、というのが正直な感想。
ただ、第一話から第一巻最終話にかけて絵が結構変わってきている感じがするあたりから、そうした予想を裏切ってくれることをとりあえず期待しておきましょう。
最後に渡辺航・チャンピオンRED版。
三作品の中で絵柄や掲載誌がいちばんオタっぽいのもさることながら、描き方そのものもやはりどうにもマニア向け。
だからこそコミック化にいちばん似つかわしいとは言えるのですが、電車の狼狽ぶりの脚色がちょっと行き過ぎな上、エルメスにロリが入っているのってどうよ?という気もするし、また2ちゃんでの会話をAA(ギコのイラスト)で進行させるのも微妙。
しかし第一話の導入部、エルメス嬢と出会う前の電車=アキバ系オタクの生態の描写は、その後のストーリーに説得力を持たせる意味でかなり効果があると思うし、さらに第一巻最終話、エルメスを好きになってしまうかもしれないというくだりの描き方はかなり秀逸で、そこまでがバタバタということもあり、ちょっと不意打ちを喰らった感じ。
三月にとらのあなやメロンブックスでペーパーが配布されていたという営業努力はさておいて、オリジナルの持ち味をいちばん伝えられるとしたらこれなのでは、と個人的にもっとも期待しているのはこの渡辺版だったりします。
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Apr 3, 2005
犬威赤彦「こみっくパーティー」
詠美シナリオのテンションがどれだけ描かれているか。
帯で「大庭詠美編収録」を謳ったのであれば、それがこの最終巻のポイントだったわけですが、はたして出色の出来映え。
他のキャラクターのエピソードはオリジナルにあまり準じていないのに、このシナリオは台詞やシーンをそのままに描いた一方、和樹との対決の決着や物語の結末についてはゲームより上手い描き方だったような気さえするし、作画もコマ割りも構成も、作者の力の入れようが違っていたように思えました。
また、和樹がプロになるかどうかに関わるこのエピソードから瑞希シナリオでの最終回に至る流れも、考えてみればもっともだけど無理のない上手い展開になっているなあ、と。
連載がスタートしてしばらく、いくら絵が上手くてもこれはまずいだろう、同人誌ならともかく商業で読ませるには「マンガ」としての体をなしてないよ・・・と思っていたこの作品。
友人曰く、「ゲームを知っている人が読むだけだし、デキは多少しょっぱくてもいいんじゃない?」。
まあそうかもしれないけど、由宇と和樹が出会ったときのエピソードの方が正しいんじゃないかなあ・・・と思ったのはもう5年も前のこと。
そしてこの手のマンガとしては長寿連載となった後半、殊にこの最終巻はまさに元ネタを知らない人でも楽しめるのではないかというクオリティだったと思います。
そのOHPを見る限り ピ ー な予感はしますが、もうすぐ二度目のTVアニメ化「Revolution」がスタート、そしてコミック版の最終巻がこの出来であれば、24日のレヴォファイナルではMIX-ISMのスペースには普段以上の参加者が押しかけそうな予感。ただでさえ同じA23ホールにはリアルちゃん様がいるわけで、混雑に輪がかかりそうだなあと思いました。
こみっくパーティー (5)
電撃コミックス (メディアワークス)
犬威 赤彦 (著)
■関連サイト
月刊コミック電撃大王(メディアワークス) http://www.mediaworks.co.jp/special/daioh/index.php
Mar 19, 2005
BLOOD ALONE (1)
それぞれの過去に、心が押し潰されることのないように、けれど決して目を背けないように。
吸血鬼の少女『ミサキ』とその同居人『クロエ』の奇矯な共同生活を描いた高野真之氏の新作は、澄んでいて、そしてゆったりとした空気の流れている佳作。
殺人鬼との対決といったシリアスな話であってもそうした特長は失われず、しかし凛とした緊張が付加されるところもこの作品の持ち味と言えるでしょう。
またそれは、この人の作風が「ブキーポップ・デュアル」や「クロノスヘイズ」のようなアクション色の強いものよりも、こうした優しい時間を描くような物語に合っていることを表しているようにも思えます。
ミサキとクロエの物語はかねてより同人誌で描かれてきたもので、この第一巻にも「ちゅー・・・をしろ」のエピソード等が改訂、加筆修正された上で収録されています。
これからもそうした作品が掲載されるかどうかは判りませんが、ヒグレが二人の住む辺りを仕切る吸血鬼のボスであるとか、ミサキはタバスコを飲むと○○たりするとかのネタはおいおい出てくることでしょう。
そしてなにより、作者の云う『本編』が今後どのように描かれるのか、大いに楽しみなところです。
ところで、クロエは眼鏡を外すとやはり線が観えるのだろうかと考えたり、ミサキがニコニコしながらクロエにじゃれついているシーンでネコミミモードな某コミックを連想してしまったり、VANISHING POINTではなく(昔の)Family Affair名義でBLOOD ALONE本を出してくれないかなあ・・・と思ったりしているのは、私だけじゃないですよね?
BLOOD ALONE (1)
電撃コミックス (メディアワークス)
高野 真之 (著)
■関連サイト
月刊コミック電撃大王(メディアワークス) http://www.mediaworks.co.jp/special/daioh/index.php
Mar 10, 2005
くじびきアンバランス (2)
原作とアニメによって、ファンにとってはもはや世界観が確立されている物語のノベライゼーションってどうよ?と思いつつ読んだ第一巻は、時乃の天然ぶりは勿論、蓮子のハイテンションや小牧の健気さもしっかりと描かれていて上々の出来。
しかし、会長については「千尋と昔なにかあった」程度にしか描かれていないのがもどかしく、自分の場合はそのリビドーを「あなざぁ★すとーりぃず」の会長シナリオを再プレイすることにより昇華したわけですが、それはともかくこの第二巻、帯の文句「かいちょー、お願いします!」を見て「よし!」と思った人はさぞや多かったことでしょう。
というわけで、黒木優が新たに設定をおこした新キャラ、フランシスカが立橋院高校にテロ攻撃を仕掛ける話が本巻のメイン。
その中でようやく会長と千尋の幼い約束が明らかにされるわけですが、この物語の重要なプロットをオリジナルストーリーで展開させるあたりはなかなか巧妙。
「・・・私はまだ強くない」
勇気がなかなか奮い起こせない、それでも手のひらを握りしめてテロリストに立ち向かう会長。
その強さと弱さを違ったアプローチから描いている点は新鮮だし、物語の最後で千尋と向かい合う場面も読ませるものになっているので、ファンにとっては今回も満足できる内容になっていると思います。
原作原理主義者は異論があるかもしれませんが、そこはそれ、普通の制服を着て髪は三つ編み、伊達眼鏡の会長というご飯が9杯は食べられそうな萌えどころがしっかりと用意されていることですし、看過するが吉でしょう。
あ、香澄が会長を敬愛するに至るエピソード、鏑木を想うあまり天然を通り越してもはや電波なトッキーの話も収録されていますので、そちら萌えな方もご安心を。
■くじびきアンバランス 公式サイト http://www.kujian.info/
Mar 2, 2005
アドリブ店長 (4)
かわぐちかいじや片山まさゆき、福本伸行などの大家の諸作品をはじめ、伊藤誠「兎」や天獅子悦也「むこうぶち」といったヒット作等々、麻雀マンガには歴史と実績があるわけですが、パチンコ・パチスロのマンガ雑誌というのは、所詮コンビニで立ち読みしたり、暇つぶしになんとなく買ってみたりする程度の存在だったのはきわめて当然のこと。
麻雀と違ってそこにドラマが発生しようはずもなく、パチプロの自慢話やら眉唾な攻略ネタやらの愚にもつかないものが殆どだったところへ出現したのが「アドリブ王子」という大傑作。
「アドリブのきかねー奴は勝てねえ!」の名台詞とともに勝ち続ける主人公・王子と、その毒気に挑んでは気圧される登場人物たち。
パワフルなギャグと展開で描かれるホールでの名勝負の数々。
大概の描き手にとってもただの「営業」でしかなかったパチンコ・パチスロマンガの歴史を、この作品が変えたと言えるでしょう。
マンガ専門書店はあかつきけいいち作品や七瀬あゆむ「パチスロバカップル」、尾上龍太郎「モッちゃん」などの新刊が出れば平積みにしていますが、こんなことは数年前には考えられなかったことですしね。
(そもそもこの手のマンガは単行本になることも少なかったわけですが)
で、あかつきけいいちの最新刊は「アドリブ店長」の方。
パチンコ・パチスロの機種そのもののみならず、ありえない出玉調整やプロとの駆け引きにロマンを求めるナイスガイな店長・小早川が主人公。
マサルとタンパク、「アドリブ王子」の面々、そして美人モデルの倫子(王子は本巻で「ゲロ」と命名)が、相変わらずアツく、しょうもない勝負を繰り広げてくれています。
■関連サイト
白夜書房 http://www.byakuya-shobo.co.jp/
Feb 24, 2005
これが私の御主人様 (3)
掲載誌を考えればもっともだけど作者HPの掲示板、小中学生の書き込みが多数。
そこで思うことは、彼らは勝負ネタばかりだわ、黒いみつきとポチに頼りすぎだわな話を面白いと思うわけか・・・といったあたり。
冬コミのとき、国際展示場駅から西ホールへと至る道沿いにいっぱい貼られたアニメ化の宣伝ポスターにハァハァしていた大きなお兄さんたちについても同様なのですが。
いや、変態の主人公と中学生メイド3人(薄幸・腹黒・百合)という設定、かつあれほどに綺麗な絵のマンガなのに、どうにも面白味が感じられないわけですよ。
なんとなく永野のりこ作品や「成恵の世界」、「ぱにぽに」と比較してしまうのですが、センスや無茶苦茶さ、ぶっちゃけ器量の点でどうしても見劣りしている感じが否めず。
一話あたりのページ数が長いせいでテンションが持続できない場合があるところへもって、2ちゃんネタやふたばネタ、マンガやアニメのパロディといったギャグの部分に無理があるのも気になるところ。
ただ、そうした点まで原作に忠実にするのは無理だろうという意味含みで、アニメ化するのには向いているような気がするし(「みすてないでデイジー」などは逆に・・・以下略)、制作はGAINAXだし、とりあえず4/7は動くいずみたんを拝もうと思ってはいます。
てゆーかオタク気質で3/25発売の緊急特報DVDを買う恐れがあるわけで、貶すか萌えるかどっちかにしとけ、自分。
■公式サイト
これが私の御主人様 http://www.gosyujinsama.com/
Feb 9, 2005
村上かつら短編集 (2)
1巻の帯に「そこだけ雑誌から切り取って、捨てられずにいつまでも持っていました」とあるのはあながち煽り文句でもなく、自分の場合は切り取るのが面倒だったので掲載誌をそのままとっておいた・・・はずなのに行方不明となっていたりするので、ついに短編集が刊行されたのは喜ばしい限り。
ネット上でさんざん渇望されていながらここまで時間がかかったのは、まあ作風が作風だからしょうがないのでしょうけれど。
デビュー作の「はるの/よるの/ようだ」を支持する声が多いのはおそらく、自分にフラれるためにやってきた女の子を主人公が「格好いい」と思う、そのラストに対する共感。
失恋した女の子が、だけどその思いはずっと大切にしようと、最後に心の中で「大好き!」と叫ぶ「99夏あたし15歳(じゅうご)」も名作。
どちらも主人公は情けなくてもどかしくて、そのあがく姿が読む者の心の琴線に触れるものであるために、この作者は支持されているのだと思います。
そしてその1コマ、その1ページのキレ。
「サユリ1号」と「CUE」の長編二作品が失敗に終わった理由には、そうしたこの人の持ち味を生かすことができなかったことが挙げられるでしょう。
であればIKKIやアフタヌーン、あるいはCOMIC CUEといったような雑誌で短編を発表して、マニアに支持されたり唐突に映画化されたりする方が向いているのかもしれません。
ただそれはメジャーで通用しなかった作家の手口。
スピリッツでも長編であっても、この人であれば凡百の作家とは異なる違うアプローチでいい作品を描くことができるように思うんだけど・・・
連続して刊行された短編集を読んで改めてそう思った人は多いのではないでしょうか。
Feb 4, 2005
片山まさゆき「打姫(うたひめ)オバカミーコ」
大風呂敷を広げまくりながら、物語の佳境やラストで(ノ∀`)アチャーとなるマンガは少なくないですが、片山まさゆきの作品は安心して読めるのがなにより。
「ミリオンシャンテンさだめだ!」なども「しょぼいデキだなあ・・・」と思っていたら、クライマックスは凄い盛り上がり、そのセンスは少なくとも明大出身の漫画家の中ではいちばんと言えましょう。
と、範囲が狭い上不穏当な発言はともかく閑話休題。
この作品は、「自分の麻雀は愛する者を喜ばせることができなかった」と一度は競技麻雀の世界を去ろうとした波溜晴が丘葉未唯子と出会い、そして二人でもう一度頂上への道を歩き始める再生の物語。
そして、その結末は、トップに君臨する我鷹、馬杉寧香との熾烈な戦いの果てに、だから今回も期待に反することのないものになるはず。
まあヒロインはいかんせんオバカなので「ノーマーク爆牌党」のような息の詰まる闘牌とはならないでしょうけどね。
ということで、女流プロの世界が物語の中心なのですが、1巻収録分もさることながら最近の近代麻雀掲載分はさらにラブコメ。
オチというか最後のページは点描の世界で、かつて柴門ふみに「恋愛観がドライ」と評された片山にしてはずいぶんとまあ、なテイストとなっていますので注意が必要です。
なんの注意なのかは分かりませんが。
■ FONT>関連リンク
近代麻雀THE WEB http://kinma.takeshobo.co.jp/
Feb 1, 2005
マリア様がみてる (3)
「ということでこの巻は『いばらの森』なわけですが」
「つーか男がコレ買うの恥ずかしいと思わないのかよ?」
「都産貿のオンリーイベントに行ったこともありますが?」
「会場に入る図をケータイで撮られても知らねえぞ」
「い、妹が・・・ですね、妹がカトリック系お嬢さま学校に行っででェ」
「脳内の妹は学校には行かないと思うが」
「しかしこの表紙、令に見えたんで、3巻なのになんで?と思いましたよ」
「目が腐ってんならマンガ読むのやめろ」
「で、まあ原作通りだし『いばらの森』のパートはぼーっと読んでたのですが、『白き花びら』の方は見せてくれましたよ」
「原作と比べて感想や印象が変わるってのは悪くない話だわな」
「『雨よ止むな』とか『神よ、これが私への罰なのですか?』とか『栞は私だけのものだ』とかのモノローグ付きのシーンは、活字のよさとマンガのよさのいいとこ取りって感じですよね」
「まあ『バトル・ロワイアル』のコミック版もそういうトコあるよな」
「高見広春自身がストーリーを書き下ろしてるのでは?と思ったくらい、話を膨らませている部分でいいデキのがあったりしますしね。それに比べて映」
「話が脱線し過ぎだし、その先は言わない方がいいと思うぞ」
■ FONT>関連リンク
公式サイト http://www.gokigenyou.com/
テレビ東京アニメ公式サイト http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/mariasama_haru/
マリみてDB http://waike.sakura.ne.jp/m/