Mar 12, 2010
ネットを捨てよ、映画館へ行こう
塩田時敏(著)
近代映画社 SCREEN新書 021
ISBN-10 : 4764822938
ISBN-13 : 978-4764822931
映画祭とは何か。
たたでさえ映画は楽しいものなのに、さらに祭となれば面白くないわけがない!
カンヌにヴェネツィア、ベルリンといった一般マスコミで報じられる映画祭はいったん棚上げにして、本書ではファンタスティック映画祭に観客として、ゲストとして、あるいはディレクターとして参加した筆者がその魅力をぞんぶんに語ってくれています。
映画館に米や小麦粉が撒かれてクラクションの轟くパリ、シエスタの国であれば夕暮れから賑わうなどとファンタに相応しいシトヘス、じゃなかった、シッチェス。
「トラウマ」の頃のアーシア・アルジェントはさぞかし可愛かったろうなあ・・・と羨んでしまうブリュッセルは胡乱な空気が満ち溢れてまして楽しそうだし、そうして映画祭で映画人と語らい、傑作と出会う享楽!
アヴォリアッツってリゾート開発されたスキー場だったのかとか、知らない作品名だらけだよ・・・とか自分が半可通であることを思い知らされるけれどそれはそれとして、筆者の文章からさらに伝わってくるのは現場でのライブ感。
そう、日本にもゆうばりファンタがあるとはいえ、映画祭なんて一般のファンにはまず縁のないもの。
ただ、いくらシネコン全盛の時代にあって空気が変わってしまったとはいえ、DVDのレンタルや、ましてネットなどでは味わうことのできない楽しさが映画館にはある、それを再認識させてくれることも本書の魅力と言えるでしょう。