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Apr 25, 2009

サスペリア・テルザ 最後の魔女

サスペリア・テルザ 最後の魔女ため息の母、暗闇の母。

そして、涙の母。

生命を産み育てるどころか、それを奪う存在である三人の母。
イタリア教皇庁が葬った災厄が1000年の時を経て蘇り・・・ローマは発狂する。


「サスペリア」から30年、アルジェントの闇を愛する者すべてが待ち望んでいた魔女トリロジーの完結編。
予告編の映像も期待をさらに昂ぶらせてくれるもので、さて、最後の魔女はどのような恐怖を供してくれるのか。

悪魔や魔女の絵画の映像、ゴブリンのクラウディオ・シモネッティの旋律のアバンタイトルには、上映がはじまるや陶酔しようもので、そしていきなり繰り広げられる惨劇、ヒロインをめぐる謎にはもう胸を躍らせたのですが・・・うーん。

矛盾があろうが脈絡がなかろうが、恐怖をひたすらに叩き付けてくるアルジェント「ならでは」が本作ではどうにも希薄、映像もあまりにも普遍的。
それが意図したものであろうとも、では謎に挑む、魔女と戦おうとするアーシアの奔走の中に、どれだけの恐怖が描かれていたと言うのでしょう。

そもそもこれは魔女トリロジー、我々がいったい何を求めていたか?

狂気と暴力に包まれるローマの描写も甘く、だからクライマックスへと向かう終盤の展開はもはや惰性。
それでも、錬金術師が登場して、隠された書庫から取り出されたのがヴァレリの「三母神」では、流石に快哉を叫ぶというもの。


 「見えるものは存在せず、見えぬものこそが真実」


さらに、アイリスを想起する闇の世界への入口に嘆息したのも束の間、そうして己を鼓舞しながら迎えたラスト、その仕打ちたるや。「インフェルノ」より酷いぞ、これは!

公開初日のシアターN渋谷、初回の上映から退出してきたアルジェントフリークたちの表情に嫌な予感はあったのですが、あるいは老いを云々するつもりはありませんが、緊張もストレスも皆無の凡作だったことには、やはり「ため息」が出ようというものでした。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

サスペリア・テルザ 最後の魔女  MOTHER OF TEARS/La Terza Madre
2007年 イタリア・アメリカ (2009年日本公開)
配給 キングレコード+iae
製作 ダリオ・アルジェント クラウディオ・アルジェント
監督 ダリオ・アルジェント
出演 アーシア・アルジェント クリスティアン・ソリメーノ アダム・ジェームズ ダリア・ニコロディ ウド・キアー

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