Feb 13, 2009
グロテスク
初めてのデート、待ち合わせをした喫茶店。カップルは俯いたり戸惑ったり。
女 「私のために死ねますか?」
男 「・・・がんばります」
そんな他愛のない会話をして、笑って、手を繋いで歩きだそうとした仄暗い道で、不審なバンからハンマーを持った男が飛び出してきて・・・
ふたりが目を覚ましたのは、そこが何処か知る由もない暗い部屋、手足は拘束され、口には猿ぐつわ。
そして、いくつもの拷問用具が鈍い光を放っていた。
プロデューサーの言にあるように「振り切っちゃって」いるかどうかはともかく、タイトルの通りにグロをプロモーションしたジャパニーズホラー。
上映時間が73分であれば、はじまってすぐにファンタスティックが展開することはするのですが、そこで観客が否応なしに物語世界に引きずり込まれるかと言えば・・・ なんだこのAVは、と。
このプロットであればもっともではあるけれど、なんでこんなに延々と見せる必要があるんだと辟易した人は少なくないのではないでしょうか。男性でも。
ただ、そのあとできっちりと描かれるのは、絶対的な暴力とゴア。
「僕を感動させてほしい」と、暗い瞳を向ける狂人の人体破壊ショーが繰り広げられることになるので、残酷描写が駄目な人は観ないほうが無難です。特に、男性なら。
大丈夫な人でしたら、特殊効果はちょっとチープながらも映ってはいけないものも映っていることですし、映倫を通さずに公開されたUNRATED VERSIONは観て損はないとは思います。
出来はジャパニーズホラーとしては悪くはないから、という意味でも。
いや、物語としてやはり薄いとは思うのですが、束の間の安堵と絶望のくだりは悪くないし、ラストもちゃんと纏まっているし。ハッピーエンドと言えなくもないですしね。
ただ、タイトルがゴアだけを喧伝するためのものではなく、狂人の「グロテスク」な心も指すのであれば、作り手にはもう少し技量が欲しかった、とは言えますが。
ともあれ、その短い尺にもかかわらず観客に強烈なストレスを与える作品であることは事実、消耗することを覚悟した上で鑑賞することをお勧めします。
グロテスク
2009年
配給 ジョリー・ロジャー
製作 大橋孝史 小林洋一
監督 白石晃士
出演 長澤つぐみ 川連廣明 大迫茂生