Nov 30, 2008
ゾンビ・ストリッパーズ
慢性的な兵力不足を打破するために、米政府が開発した死人を蘇らせるウィルス。
それが研究所で蔓延する事件が発生して、事態の解決に乗り込んだ兵士までもが感染、やがて場末のストリップ・クラブへと伝播して・・・
ポール・ダンスの躍動感しかり、女同士の諍いしかり、ゾンビになったストリッパーのほうが生き生きとしているというセンス・オブ・ユーモアが本作の白眉。
そうしたストリップ・クラブの面々が繰り広げるサバイバルとスラップスティック、そして全編に溢れるアイロニーはジョージ・A・ロメロの文法を踏襲したもの。
ただただ単調なドタバタになりかねないプロットのホラー・コメディであれば、だから実に安心して観ることができるのも上等、もう少しはっちゃけてもよかったのではとも思うけれど、過ぎたるはなんとやら、それは作り手のバランス感覚だったのでしょう。
ただ、クライマックスは若干冗長。
ストーリーの当然の帰結としてストリップ・クラブに突入するSWAT部隊は面白味を欠き、科学者の奸計が結末というのもやや凡庸であったかもしれません。
田舎娘はなんだったのさ、もうひとりのヒロインじゃなかったの?といったあたりも気になりましたしね。
「この役立たずめ!お前は死人以下だ!」
とはいえ、地雷になりかねないこの手の作品としてはかなりの出来、狙った感のある「ショーン・オブ・ザ・デッド」よりも、ただただおバカなこちらのほうが好みという人も少なくないのではないでしょうか。
そうそう、もちろんR18であるがゆえにゴアはもうやりたい放題、頭部は破壊され内臓が引きずり出されてこそホラーだ!という向きもきっと満足したことかと思います。
ともあれ、プロモーションでインリン・オブ・ジョイトイさんが評した「チャーミングなゾンビ」たちは必見、今秋公開されたホラー映画における思わぬ掘り出しものであることは間違いないでしょう。
また、蛇足ではありますが、私が観に行ったのは銀座シネパトス。
綺麗な映画館で観るよりも、B級臭の香しい本作については似つかわしかったとは言えますね。
ゾンビ・ストリッパーズ ZOMBIE STRIPPERS
2008年 アメリカ
配給 ソニーピクチャーズ エンタテインメント
製作 アンジェラ・リー アンドリュー・ゴロフ ラリー・シャピロ
監督 ジェイ・リー
出演 ジェナ・ジェイムソン ロバート・イングランド シャムロン・モア ジョイ・メディナ