Oct 28, 2006
ホステル
凄惨な「何か」が繰り広げられたであろう部屋の映像と口笛、というオープニングはともかく、バックパッカーたちの乱痴気騒ぎを延々と描く序盤と、そのあとにようやく疾走する狂気。
あるいは、観客にはジョッシュが主人公であるように思わせておいて実は・・・という意外性や、だからこそヒーローへと転化するパクストンの逃走、そして逆襲。
いや、とにかくあざといんですよ、この作品。
「俺ってウマイだろ?」とでも言いたげなロスの演出や、タランティーノ臭がどうにも鼻について、拷問映画と謳われた新機軸のホラー、ファンタスティックを観客がみな純粋に楽しめたのかがどうにも微妙、で。
その拷問や殺人のシーンにしても、もっと執拗に残酷に描写されていればこそで、三池崇史の「痛いって美しい!」というコメントに期待したような圧倒的な暴力などは伺うことができません。
ゴアはまあともかくとしても、一人、また一人と「チェックアウト」してしまうこと、姿を消していくことの緊張感があまりにも希薄なのがまたどうにも・・・
序盤であえて恐怖感を煽る描写を排除したのであれば、いざそのあとがそんな按配では話にならないでしょう。
とはいえ、クライマックスはさすがに楽しめはしたものの、見え見えの伏線にやらなにやらがそうした不満とあいまって、素直に誉めることができない始末、というのはさすがに言い過ぎなのでしょうけれど・・・
演出の技量に関しては確かに向上してはいるものの、観客をどのようにして楽しませようかという思慮を欠き、マスターベーションや驕りが払拭されていることもなく。
ともあれ作り手としてのマインドは「キャビン・フィーバー」からあまり進歩はしていないように思えます。
(文中、ネタバレは背景色にしています)
ホステル HOSTEL
2005年 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
製作総指揮 クエンティン・タランティーノ ボアズ・イェーキン スコット・スピーゲル
監督 イーライ・ロス
出演 ジェイ・ヘルナンデス デレク・リチャードソン エイゾール・グジョンソン
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