Sep 30, 2006
散歩はたぶん終わらない
18年間、いっしょに暮らしていた猫が昨夜、死んでしまいました。
会社から家へと帰ろうとしていた夜の駅のホームで、家族からその知らせを聞いて。
このまま電車に乗って、車内で泣いてしまったら・・・と、駅を出てタクシーで帰ることにして。
しかし、冷たく、硬くなってしまった彼女を抱いてみても、なぜか涙は流れませんでした。
それはたぶん、肛門腺の破裂で動物病院へと駆け込んで、そのあとしばらく通院することになった今年はじめの冬、バスケットの中の彼女と病院への散歩をしながら、高くて青い空を見上げながら、お別れをする日はもう遠くはないことを覚悟していたから。
病院が大嫌いな猫だから、たとえ血液検査の数値が異常でも、家で最期を迎えさせてあげようと思っていたこともあるし。
でも、やがてやってくるこんどの冬は、もしかしたらだめかな・・・と思ってはいたけれど、急に逝ってしまうことはないだろう?
せめてあと一時間、俺が家に帰るまで待っていてくれてもいいじゃんか。
ただ、この二日は急に食欲がなくなっていて、立ったり座ったり、歩いたりするのが辛そうだったから、楽にはなれただろうなあ・・・
そんなことを思いながら彼女を抱いていた私を見て、もう一匹の猫が小さく「にゃあ」と鳴いた、その声を聞いた途端に、ようやくぼろぼろと泣き出してしまいました。
今日はもう葬儀を済ませたのですが、ほんとうのお別れをする前に彼女をずっと撫でていた、そのふわふわの毛はなんか暖かかった。
そして、私のそばには小さな骨壺があって、その前に飾った写真の中の彼女は、大きな目で私のことをいまも見つめてくれています。