May 25, 2006
バスケットケース
引き裂かれたシャム双生児、拡散する憎しみ。
その復讐の果てにあるものは・・・
まずは最初の犠牲者が、何者かに追い詰められて惨殺されるところから物語が始まり、そしてドウェインがバスケットケースを抱えてニューヨークにやってくるという序盤の展開は、観客を物語世界に引きずり込む簡素で効果的な演出。
ひと癖もふた癖もあるHotel Broslinの面々、ドウェインの恋、「二人」の生い立ちが描かれる中盤の回想シーンといった構成は実によく練られた仕事である上に、どこで「バスケットケースの中」を観客に明らかにするか、そのタイミングを逸していないのもお見事。
「0:34 レイジ34フン」は見習えや・・・という余談はともかく、ベリアルを探しに行ったドウェインにゴミ袋から差し出される手、また、「二人」をただ一人理解して、暖かく包んでくれた伯母といった、映像や人物描写が実に絶妙と言えましょう。
兄弟だもん
いつまでも ずっと一緒だよ
だからこそ、復讐は成し遂げられるのか、そのあと「二人」はどうなるのかという、物語の結末は実に興味深かったのですが、それだけにラストには喰い足らない印象が強くなってしまうというもの。
ハッピーエンドであれとは言わないし、ドウェインに手をかけようとしながら思いとどまるベリアルまではよかったもののそのあとが・・・
そのためにラストシーンが「いかにも」なものに思えてしまい、そこまでがよくできているだけに残念だよなあ、と。
とはいえ、カルト・ホラーとして評価されているのはもっともな出来ではあるし、DVDの特典映像、陽光の中のベリアルには神々しいものが感じられることもあれば、この手の映画がお好きな向きはやはりバスケットケースの中を覗いておくべきでしょう。
バスケットケース
1982年 アメリカ
製作 エドガー・レヴィンズ
監督 フランク・ヘネンロッター
出演 ケビン・ヴァン・ヘンテンリック テリー・スーザン・スミス ビバリー・ボナー ロバート・ボーゲル ダイアナ・ブローネ