Apr 9, 2006
フリークス
「人間に見せるべき映画ではない」「禁断の映画」と言われたカルト作品。
不快さを前面に押し出すことは、物語作りにおけるひとつの技法ではあるわけですが、この作品の場合は圧倒的な「リアル」の下に、そうした感覚が希薄になってしまうことが名作と称される所以。
公開当時は酷評され、興業的に失敗しながらも、再評価されたのは当然であるように思います。
冒頭のシーンや「フリークの掟」といったくだりから、物語の結末は読み取れてしまうのですが、それは些末なこと。
技巧もストーリーの妙もなにもない、その映像の衝撃と鮮烈さは、64分という上映時間を短いとは感じさせない存在感を観る者に叩きつけてくると言えるでしょう。
と、誉めはしたものの、やはりいろいろな意味で問題のある作品。
自分の場合は、スクリーンに躍るフリークスにある種の可愛さを感じてしまったものの、どうしても拭うことのできない不快感に耐えられない向きはあろうかと。
鑑賞するにあたり、ある種の覚悟が必要な作品なのかもしれませんが、しかし映画史においてその名を決して消すことのできない異色作ということで、お薦めしてしまうことにします。
フリークス デジタルリマスター版 FREAKS
1932年 アメリカ
配給 クロックワークス トルネード・フィルム
製作 MGM映画
監督 トッド・ブラウニング
出演 ハリー・アールズ オルガ・バクラノヴァ ヘンリー・ヴィクター ウォレス・フォード