Feb 8, 2006
スナッフ SNUFF
マンソン・ファミリーをモチーフにしたポルノ・ムービーだかクライム・ムービーだかを製作したものの、そのあまりの出来のひどさにいったんオクラ入りさせた作品に、「本物の殺人シーン」というふれこみのフッテージをぞんざいに追加。
話題性をプロパガンダすることによって興行成績を叩き出したという、いろいろな意味での問題作。
ところで、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」はインターネットやパブリシングといったメディアを含めた、まさに「プロジェクト」としてのエンターテインメントを観客に提供。
映画そのものだけではない、こうした手口もまた今日日アリなんだろうなと感心したものですが、その二十年以上前に製作されたこの作品も、巧妙なやり口で当時の人々を楽しませたとは言えるのかもしれません。
とはいえ、なにが悲しくてワケの分からない殺人集団の水浴びシーンを見なければいけないのだろう・・・などと、ラスト五分のためだけに糞ったれなストーリーをただひたすら我慢しなければならず、忍耐力とか寛容の精神が要求されることになるわけですが。
そして、問題のスナッフ・シーンはと言えば。血の色くらいもう少し説得力があるようにしろよという気がするし、そもそも殺される女、誰だお前。
また、たとえば映っている撮影スタッフの顔にボカシを入れるなどして胡散くささを増幅させるといった、細かな芸すら欠如しているのがノーセンスというもの。
とにかく、そこに意志や哲学などあろうはずもなく、ただただ映画マスコミや観客を踊らせた製作会社の勝利、というだけの作品。
「ネタとして見ておくとするか・・・」くらいの心構えで鑑賞するのが正しいわけですが、ネタとしてさえも、かの「死霊の盆踊り」ほどブラボーではないので、さらに注意が必要です。
スナッフ SNUFF
1976年 アルゼンチン
配給 ジョイパックフィルム