Feb 23, 2006
サイレン FORBIDDEN SIREN
恐怖感を煽るシーンがただ延々と続くだけ。作り手は、その映像に何も疑問を感じないのか? それがジャパニーズ・ホラーに対して抱き続けている失望。
でもまあ、ゲーム映像やコミカライズからゾンビ・テイストが伺えることだし、一応抑えておくとするか・・・と劇場へ。ただ、あまり期待していないために、キャストをまるで知らずに観に行くという凶行だったり。
だから、森本レオがスクリーンに登場したときには、「うむ、怖いものを見せてくれそうだ」と期待してしまったわけですが、それはそれとして。
島に満ちる悪意、赤を多用する映像に、序盤はそれなりに楽しんで観ていたものの、中盤以降がいかにもだらだら。
「シャイニング」よろしくヒロインに襲いかかる脅威、というシーンも、「わざとやってんのか、これ?」と思うほどに冗長で、物語がまさに今から佳境に向かうというのに眠くなる始末。
ともあれ、ジャパニーズ・ホラーの欠点はこの作品でも克服されてはいません。
そうして、サイレンがヒロインを追い詰めるという基本的なプロットと、諸々の描写が乖離することによって、作品全体が薄っぺらいものになっているよなあ、と。
ただ、私の右の方にいた観客があるシーンで飛び上がっていたように、音にこだわった点については誉められていいのでしょうし、物語の結末、そしてラストシーンの見せ方は上々。
その点だけで、そう声高に貶すのもどうかとは思うのですが、ストーリーに仕掛けられたさまざまな謎が、観客に困惑や議論を供する意図があるにせよ、作品全体を俯瞰した場合、それはエンターテインメントとしてどうなのかといった疑問が湧かずにはいられず、とりあえず失望を拭い去ることはできませんでした。
サイレン FORBIDDEN SIREN
2006年
配給 東宝
監督 堤幸彦
出演 市川由衣 森本レオ 田中直樹 阿部寛 西田尚美 松尾スズキ