Oct 23, 2005
瀬尾浩史「アキバ署!」
表紙や扉絵でヒロインの久遠あまねを見るや「読子さんですか?」と思ったり、第一話の女子高生・神崎千夏には「令ちゃんそのまんまやんけ!」と突っ込みたくなるのは、オタクのみなさまほぼ同様であったことでしょう。
野郎の刑事はステレオタイプだし、絵柄はやはりどうにも古臭い印象。
ストーリーにしても、初手からWinnyネタですかそうですか・・・と、そのベタ具合に読み始めてすぐ('A`)ヤレヤレなどと思ってしまったわけですが。
まさかあのような過激なネタであるとは思わず、あまねのパワーが炸裂するシーンや千夏のパニック、伊武一弥の漢っぷりといったキャラクター描写の絶妙さや、よく練られたストーリーと構成に唖然。
また、クライマックスにおける、
「セキュリティホールだらけなんですよ! この国の法も!社会も!それを使う人間も!」
というあまねの啖呵も絶品。
それこそ「R.O.D」やらなにやら、どこかで読んだような話のごった煮であるようなイメージは拭いきれませんが、とにもかくにも第一話は「冗談だろ・・・」と思うほどの出来映えではありました。
しかし第二話以降を読むに、スクリプトキディライブにせよメイド+エウリアンネタにせよ、なんかこうアキバの喧噪や混沌の実際はいまひとつ描かれていない感じが否めず、無理にタイトルに謳うのはいかがなものかと・・・という気が沸々と。
「R.O.D」は本がテーマの物語だから神保町が勿論似つかわしいけれど、この作品の場合は変に狙わず普通のサイバーアクションとして描けばいいような・・・
第一話があまりに秀逸であったことと、そのあとのあまねの活躍がイマイチであることを含めて、どうしてもそうした感想になってしまう上、巷のそれは過大評価ではあるまいか、とすら思ったり。
バーチャルな世界と秋葉原のリアル、その対比をより丁寧に描くことにより、この先化ける可能性は秘めているように思いますが、現時点では並の作品であるような気がします。
まあ巻末の次巻予告、そこに収録されるであろう物語のあらすじを読むに面白そうではあり、そうまで酷評するべきではないかもしれませんけれど、ね。