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Oct 13, 2005

犬威赤彦「MURDER PRINCESS」

051013どうしても「萌え」と切り離しては考えづらい犬威赤彦さんの新作がヒロイック・ファンタジーであると聞いたとき、うーん、どんなもんだろうねえ・・・と懐疑的だったのは、やはり「マンガ」の描き手としての技量を訝しく思っていたため。

マンガで要求される画力とは「イラスト」では決してなく、構図やコマ割り、そして動きがどれほどに描けているか。
文句なしに綺麗な絵ではあるけれど、「こみっくパーティー」は出来のよさをシビアに要求されはしない作品であり、たとえその最終巻、特に詠美シナリオが相当に見せるものであったとは言え、そうした点に難があったことは否めないでしょう。

しかし、この作品は「これが犬威赤彦?」と思うほどの出来。

ストーリーそのものはヘンにひねることもなく正攻法、とりたてて誉めるほどではないと思いますが、いちばん心配されたアクションシーンこそがかなりのもの。
描き手もいちばん気合が入るであろうアリタ姫の殺陣は、構図も動きもよく練られた上で描かれている感じで、萌えるというよりは格好いいなあ・・・!と、感嘆した人は少なくないのでは、と。

まあ、プロットやキャラクターデザインは「狙ってるなあ・・・」と、そのあざとさに飛翔ですか?」と突っ込みたくなるものがありましたが、そういうインネンをつけたくなるくらいのレベルであったことは正直意外、それが読後にまず感じた感想でした。

ただ、最後に登場するアリタ姫の兄が物語を凡庸なものにしそう・・・というのは私見であるにせよ、この先の展開が漫然とならずに読む者を楽しませてくれるのか、なまじこの第一巻がよくできているために、そうした点が若干危惧されるところ。

「虐殺姫」の手綱をしっかりと御した上で見せるべきものを見せること、それがひとえにこの作品、そして犬威赤彦さんの作家性を問うことになるでしょう。

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