Oct 12, 2005
AIR IN SUMMER
翼人の宿命についてのより精緻な描写や、観鈴と往人のひと夏の物語に繋がる三人のドラマが展開するのかと思ったらさにあらず。
八百比丘尼に会うための「楽しかった旅」そのものを描くことが本作の主眼となっている印象で、そこに流れる優しい時間が、やがて訪れる悲しい物語との対比となって観る者の心を打つ、それが作り手の狙いだったのかもしれません。
そして、京都アニメーションならではのクオリティは勿論健在。柳也の過去とその「心境の変化」はさすがに見せてくれるし、神奈がみた夢、ひまわりが揺れるシーンもかなり秀逸。
「願えば夢はきっと天に届くだろう」という神奈の台詞は、本編を想起して唸らせるものだったりと、「AIR」の世界観を存分に堪能できる内容になっています。
映像的には、柳也のもとへ夜這いをする神奈の摺り足と視線の動きは出色ですし、なんと言っても特典として収録されたノンクレジットオープニングは必見。
空へと舞う神奈の涙、母から子へ手渡される人形、子供を宿している裏葉が微笑むシーンといった、この特別編のために追加された映像はどうしようもないくらいの嘆息ものでした。
それにしても意外だったのは、エッチなネタがふんだんだったり、裏葉がぶっ飛んでいたりしたこと。
また、神奈がニワトリに襲われるシーンには「あんた、翼人だろ!」と突っ込みたくなったりと、ギャグにことさら趣向を凝らしているなあ、と。
そうしたあたりを考えるに、神がかった出来であった本編は一旦横置きにして、肩の力を抜いて鑑賞するのが正しい姿勢なのかもしれませんね。
■ FONT> TVアニメーション「AIR」公式サイト http://www.bs-i.co.jp/anime/AIR/
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