Jun 5, 2005
TVアニメーション「AIR」 DVD Vol.3
コンマ数秒まで綿密に計算されたカット割り、過不足のない演出効果を生み出す構図の妙。どちらかと言えば物語そのものよりも映像の出来映えを楽しみに鑑賞しているところがあり、そうした点でこの第三巻に収録された二話はちょっと期待はずれ。
第五話「つばさ~wing~」の冒頭、夢から覚めた往人に駆け寄る観鈴のカットや、第六話「ほし~star~」の美凪とみちるの別れのシーンは上々かなと思いつつ、それもここまで神がかった映像を見せられてきた故のラベリング効果では、と斜に構えたくなる気持ちが少々。
しかしシナリオは丁寧な作りで、本巻もスタッフの力量が感じられる仕上がりになっているのがこの作品の凄いところ。
心の中、その精神世界に在るものは何か。この先の物語に繋がっていくであろう観鈴のパニックもさることながら、どういう役まわりなのかよく判らなかったみちるを巡る描写が特に出色で。
「シャボン玉ってきれい。からっぽで、お空みたいで」という科白が、美凪と出会った日にシャボン玉の中で躍るみちるのシーンへ、往人の「観鈴、お前は笑ってろ」という言葉は、みちるの願い「世界がたくさんの笑顔でいっぱいになって」へと繋がってゆく、第五話・第六話の構成は絶妙。
そして星の砂に込められた願いは、もう一人の女の子へ。みんながあったくなって生きていけるように・・・
そんなことをつらつらと考えながら鑑賞したあと改めて、たくさんの星の瞬く夜空を見上げる美凪とみちるが描かれたジャケットを眺めるのはなかなか。そうした意味でも初回限定版はお値打ちと言えるかもしれません。
といったこじつけはともかく、第六話の引きはオリジナルを知らない人間にとってはなかなかに酷。とりあえずは第四巻を、ハイレベルな物語作り、そして映像を楽しみにしつつ待つしかないわけですけどね。
■ FONT>関連リンク
TVアニメーション「AIR」公式サイト http://www.bs-i.co.jp/anime/AIR/
劇場版「AIR」公式サイト http://www.air2004.com/