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Jun 14, 2005

山田悠介「ライヴ」

ライヴ感染した者を確実に死に至らしめるウィルス。
ゴールに辿り着きさえすれば、特効薬が手に入る。愛する人の命を救うために、彼らは狂気のトライアスロンに挑む・・・

デスゲームというかゼロ=サムゲームというか、要するに生き残りものが好きなのですが、高見広春「バトル・ロワイアル」を基準に考えてしまうのがどうにもいけません。

黒武洋「そして粛清の扉を」は新潮社+幻冬舎の第一回「ホラーサスペンス大賞」ということもあり、期待して読むもその出来たるや ピ ー だし、貴志祐介「クリムゾンの迷宮」はさすがに読ませるものながら、「黒い家」「天使の囀り」と比べると物足りなさを感じてしまうし、で。

それはそれとして、この本を書店で手に取り、トライアスロンのコースになっている目次を見ると、各章が「198/198」「117/198」「43/198」「7/198」・・・ これはもう買うしか!

序盤、三人組がバスで知り合うシーンにはこらこらと思いましたが、登場人物の設定はよくできているし、物語がテンポよく進んでいくのも好感。
42人とかきっちり描写して長尺にされるのはそれはそれでヘビーだし、と実に面白く読み進めた上、本に挟まっていたチラシに書かれている既刊「パズル」や近刊「ブレーキ」もやはり生き残りもの。寡聞にして知らなかった作家、そっちも読まないといけないかな・・・などと思っていたのですが。

登場人物各々のエピソードをきっちりとまとめることなく物語がクライマックスに向かっていくのが、まず不安を感じたところ。ていうか、折角上々の設定をしていたのに、なにをやっているんだ、と。
そしてその嫌な予感が的中、ラストはあまりにも弱すぎ。特効薬のためのレースが行われた理由そのものはまあよしとして、そこへ至る伏線や描写が弱いため、読む者を打ち響かせるものがないわけです。

ということで、もう二~三割枚数を多くして、そうしたところをしっかりと描いていればいい作品になったのになあ、と残念な思いが少々。まあ、この手のストーリーが好きな人であれば、とりあえず一気読みしたくなるレベルではあるのですけどね。私も2時間15分かけて一気読みしたわけですし。

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