May 5, 2005
キャビン・フィーバー
宣伝における賛美の声にタランティーノやピージャクが名を連ねている「インフェクト(感染)・ホラー」。謳い文句は「極限状態で初めて現れる人間の本性」ということで、郊外で余暇を楽しもうとした若者にふりかかる惨劇という恒例のネタながらも毛色の変わったものが観られるのでは、と期待しつつ鑑賞したわけですが・・・
感染をイメージしたオープニング、不気味な森や湖からの始まりは、腰の据わった正統派な物語を予感したのですが、わざとやってるのか?と思うくらい古臭い映像と台詞にまず辟易。
ボーリング場の惨劇といったエピソードは上々ながら、肝心の物語は恐怖や不安感を感じることのないままダラダラと展開、後半に繋がる上等な伏線が張られることもなし。
メインの登場人物に発症者が出るのは上映時間の半分を超えたところで、まあここからは人間の本性云々の心理劇をしっかりと描いてくれるのではという期待も空しく、意外性を狙ったりベタだったりというクライマックスにはまるで面白味を感じることができず、それ故に肩すかしを喰らわせようとしたと思しきラストもただただ腹立たしいだけ。
お互いへの思いをようやく吐露した幼なじみの二人、エロエロなカップルと電波男という五人の仲間の関係が崩れていく、そのせめぎ合いや悲しみをしっかりと描いた上もっとストーリーを練ってさえいれば、謎の少女、もとい少年やマリファナにいちゃん、頭の悪そうな保安官補といった多士済々な脇役の設定は悪くないのだから、もっと面白いものにできた筈なのにとか、この監督はデヴィッド・リンチのそばで何を見ていたのだろう、などと思いながら映画館を後にすることになったのでした。
キャビン・フィーバー CABIN FEVER
2002年 アメリカ
配給 アートポート
製作・監督 イーライ・ロス
出演 ライダー・ストロング ジョーダン・ラッド ジェームズ・デベロ セリナ・ヴィンセント ジョーイ・カーン アリ・ヴァーヴィーン ジュゼッペ・アンドリュース