Mar 22, 2005
アンデッド
鑑賞するにあたりまず注意するべきは、この作品はホラー映画とは思わない方がいいということ。殊にロメロやフルチを崇拝している向きは、壁が出現したあとの展開に閉口してDVDプレーヤーの停止ボタンを押す可能性も少々。
私の場合はそのシーンに至る前に、ダラダラとした脱出劇で睡魔に襲われギブアップ、翌日その続きを観る始末となったわけですが。
ということでこの作品は、スピエリッグ兄弟のセンスを気に入るかどうかが評価の分かれ目。ホラーとSFとマカロニ・ウェスタンのごった煮というB級臭が快感な人もいるでしょうしね。
しかし、ストーリーそのものは観る人の趣味もあるでしょうからともかくとしても、まとまりのない構成ばかりは誉められたものではなく、それを映像センスを云々して擁護するのはいかがなものか、と。
ただ、人物描写の上手さは、そのあたりをなおざりにしている昨今の映画に比較すると上等の部類。マリオンのブットビぶりは見せてくれるし、警官コンビの情けなさもいい味を出していますしね。
残酷描写も、この作品の売りである脊髄ウネウネやキレたレネの大殺戮シーン等々、十分に堪能させてもらえますし、騒動がひと段落したあとの病院のシーン、そして「ミス・バークレー」の伏線が活かされたラストも上出来。確かにこの兄弟、才能はあるのだとは思います。
「子供の頃からホラー映画が大好きで、ビデオショップに自分たちの作品が並ぶのが夢だった」のであれば、ハリウッドでは、ホラーファンをもっとストレートに楽しませる作品を期待しておきましょう。
アンデッド UNDEAD
2003年 オーストラリア
配給 アートポート
製作・監督 ピーター&マイケル・スピエリッグ
出演 フェリシティ・メイソン ムンゴ・マッケイ ロブ・ジェンキンス リサ・カニングハム ダーク・ハンター エマ・ランドール