Mar 5, 2005
CUBE キューブ
出口のない閉鎖された空間で次第に歪み、そして狂っていく精神。
賢明でいようとした者から命を絶たれるところに作り手のシニカルな視点が伺える上、何故6人は閉じ込められたのか、誰がなんのために17,576個の立方体を有する建造物を築いたのか、その解答を最後まで観る者に与えないことで緊張感の持続した、濁りのない作品になっています。
「生きるに値するものが外には何もない」
「じゃあ何があるの?」
人間のエゴがぶつかり合い、醜悪で滑稽で。外の世界とキューブの中と、いったい何が違うというのか。脱出劇として登場人物に感情移入していると裏切られる後半の展開もお見事。生き残った者は、外界へと続く眩しい光の中に何を見たのだろう・・・と。
ところで序盤の「メッシュ」や硫酸といった景気のよい殺しっぷりからして、その後も派手なスプラッタが拝めるかと思ったらさにあらず。
「血や臓物が足りねえな」という気もしますが、「カイジ」の絶望の城を連想させるシーンには「やるなあ」と思ったので、その点はまあよしとしておきましょう。
CUBE キューブ
1997年 カナダ
配給 ポニーキャニオン クロックワークス
製作 メーラ・メー ベティ・オァー
監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演 モーリス・ディーン・ウィント ニコール・デボアー デヴィッド・ヒューレット ニッキー・ガーダグニー アンドリュー・ミラー ウェイン・ロブソン