Mar 19, 2005
BLOOD ALONE (1)
それぞれの過去に、心が押し潰されることのないように、けれど決して目を背けないように。
吸血鬼の少女『ミサキ』とその同居人『クロエ』の奇矯な共同生活を描いた高野真之氏の新作は、澄んでいて、そしてゆったりとした空気の流れている佳作。
殺人鬼との対決といったシリアスな話であってもそうした特長は失われず、しかし凛とした緊張が付加されるところもこの作品の持ち味と言えるでしょう。
またそれは、この人の作風が「ブキーポップ・デュアル」や「クロノスヘイズ」のようなアクション色の強いものよりも、こうした優しい時間を描くような物語に合っていることを表しているようにも思えます。
ミサキとクロエの物語はかねてより同人誌で描かれてきたもので、この第一巻にも「ちゅー・・・をしろ」のエピソード等が改訂、加筆修正された上で収録されています。
これからもそうした作品が掲載されるかどうかは判りませんが、ヒグレが二人の住む辺りを仕切る吸血鬼のボスであるとか、ミサキはタバスコを飲むと○○たりするとかのネタはおいおい出てくることでしょう。
そしてなにより、作者の云う『本編』が今後どのように描かれるのか、大いに楽しみなところです。
ところで、クロエは眼鏡を外すとやはり線が観えるのだろうかと考えたり、ミサキがニコニコしながらクロエにじゃれついているシーンでネコミミモードな某コミックを連想してしまったり、VANISHING POINTではなく(昔の)Family Affair名義でBLOOD ALONE本を出してくれないかなあ・・・と思ったりしているのは、私だけじゃないですよね?
BLOOD ALONE (1)
電撃コミックス (メディアワークス)
高野 真之 (著)
■関連サイト
月刊コミック電撃大王(メディアワークス) http://www.mediaworks.co.jp/special/daioh/index.php