Aug 2, 2008
高橋留美子展 It's a Rumic World
7月30日(水)から8月11日(日)まで松屋銀座で開催されている高橋留美子展に行って来ました。
入場したのが土曜日の15時15分といういい時間だったこともあって、入口の脇に「只今たいへん混雑しています」という旨の掲示があった通りに中には人人人、入ってすぐの「うる星やつら」ゾーンから見ようにも列はまったく進みません。
うーん、会場の奥から攻めようかな・・・と思っていると、係員さんの「順路はございませんので空いているところからご覧くださーい」というアナウンスが聞こえてきて、そのおかげかそれなりに列が進むようになったので、どうにかじっくりと鑑賞することができたのですが。
原画の端麗な線や彩りを見ていると、そこに高橋留美子さんの息遣いが窺えるよう。
それは紛れもなく日本の漫画界を制圧した才気であり、だからこそ入場者は見とれるあまりにみな歩みが遅く、「うる星やつら」の最終回の原稿が展示されたショーケースでは、またしてもなかなか進むことができませんでした。
そして、「うる星やつら」の次は「めぞん一刻」ゾーン、そこには一刻館のセットや模型があり、ただでさえ昭和を感じる展示会にあって、まして感嘆してしまうというもの。
そう、この高橋留美子展は世代を超えたものであり、「めぞん一刻」の結婚式のシーンの原稿をじっくりと見ているお母さんに連れられた子供たちは、そのあとの「犬夜叉」の原画やアニメの上映にきっと喜んだことでしょうし、ラムちゃんや管理人さんに萌えたであろう40歳前後の男性の二人連れが、
「高橋由美子が朱美ってのはなあ」
「20世紀最後の正統派アイドルがなんでって感じだよなw」
と話していたのも、実に趣があるというものです。
ただ、「犬夜叉」ゾーンで作品談義をしていたかと思えば、「原作は読んでないんだけどね」と宣った女性には(・∀・)カエレ!と思いましたけれど。
続きを読む "高橋留美子展 It's a Rumic World"Feb 2, 2007
松本剛「すみれの花咲く頃」
断ち切れないその思いが、どれほど周囲の人々に迷惑をかけているのか。
それはじゅうぶんに解っていた。でも。
宝塚音楽学校に行きたい。
・・・そして、「みかた」はいた。
松本剛さんが紡ぐ物語のやさしさとせつなさは、凡百の作家にはどうしたって描くことができないほどにキラキラと煌めくもの。
だからこそ、野にひっそりと咲く花を摘み取ったNHKドラマには快哉をさけぶほかになく、バブル景気華やかりし頃に発表されたこの名作が15年の時を経てもういちど輝くことに、狂喜したファンは少なくないことでしょう。
人を想うこと、そして自分を思うこと。
ゆっくりと、ゆっくりと、少年と少女のこころを描く、その精緻で清冽な物語世界は、やはり新装版が発売されることになった「甘い水」でも堪能することができます。
悪意に満ちた世界、暗く濁った澱から逃げ出したい。でも、逃げ出すことができない。
こちらはクライマックスにおけるヒロインのセリフ、「もういやよ」のカタルシスがどうしようもなく秀逸ではあるのですが、それまでの松本剛作品らしからぬどぎつさがあることと、プロットの根本に在るものが類似するという点で、未読の方にはまず、「すみれの花咲く頃」をお薦めします。
そして、こうして再評価される機運があるのなら、単行本に収録されていない短編の数々、個人的には「なかない渚」をはじめとする近代麻雀に掲載された作品群が、ふたたび陽の目を見ることを切望せずにはいられません。

【関連リンク】
「すみれの花咲く頃」番組ホームページ (NHKドラマ)
松本剛インタビュー (Walkerplus)
講談社BOX
「甘い水」(上)(下) 2007年2月3日発売
「すみれの花咲く頃」 2007年3月1日発売
Nov 29, 2006
堀田清成作品について
かつてのブームの中で、雨後の筍のように次々に発刊、発表されては消費され使い捨てられた競馬マンガ雑誌と作品の数々。
競馬マンガというものは、極論すればよしだみほさんだけが別格で、愚にもつかない代物が多く、メジャーですら「この作者、競馬をぜんぜん知らないのでは?」という作品が散見される始末。
かの福本伸行さんでさえ、そのロジックが構築される前であったとはいえ、「無頼な風 鉄」というお粗末なものを描いてしまった過去があるわけですしね。
かくして、競走馬やその周囲の人間模様を、陳腐に浅薄に描いたドラマもどきばかりだった中で、異彩を放っていたのが堀田清成さんの作品。
むしろスポットライトを浴びることなどない世界、競馬をめぐる隙間の物語をきっちりと描いていたその作品は、愚作ばかりの中でひときわ輝いていました。
予想がまるで当たらない競馬記者とノミ屋の対決。
大学を卒業したばかりの若者を待ち受ける魑魅魍魎、「社会」の洗礼。
競馬場の清掃のパートをしていたおばさんが、ゴミとなった馬券に見た人間模様。
コーチ屋に身を落とした男は、もう一度華のある予想屋に戻れるのか?
ありえないツキが訪れたときに、人はどこまで張ることができるのか?
ルドルフとノミ屋の闘いの結末。競馬に「絶対」はあるのか?
Sports Graphic Numberが、やはりこのような切り口の特集をしていたことが思い出されますが、そうしてウィンズや競馬場の風景、学校や職場や雀荘といった此岸の人々を、「競馬」や「馬券」を熟知しているがゆえの洞察とセンスで、丁寧に描いた物語が面白くないわけもありません。
また、この名前を見たときに、「ヒカルの碁」や同人誌即売会「コミックカーニバル」を想起した人も少なからずいるかと思います。
その点についてはWikipediaに詳しいので割愛、また、私が読んだ「JET PLOPOST」に作品は掲載されていなかったように思うのですが、ともあれ森博嗣さんやささきすばるさん、山田章博さんらとともに物語世界を紡いでいたのだから、志のないマンガをもはや営業という意味でのみ描いていた作家たちとは、一線を画したものとなるのは当然のことでしょう。
しかし、その作品は単行本化されることのないままで、野に置いたままにしておくにはあまりにも惜しいよなあ・・・と思いながら、私は切り抜きをいつまでも捨てることができないのでした。
Sep 10, 2006
はっとりみつるさんサイン会
とらのあな池袋店で開催された「下着日和」発売記念、はっとりみつるさんのサイン会(9/9)に行ってきました。
はっとりさんのHPによれば、イラストのリクエストを受ける予定とのこと。
どのキャラを描いてもらおうかなあ♪と、あれこれ考えながらとらのあなへと向かったわけですが、それにしてもサイン会に足を運ぶなんて、いつ以来のことだろう?
なんとなくドキドキしながら4階で列に並んで待っていると、やがて列整理がはじまって、そして、参加者を誘導したり注意事項をアナウンスしたり、てきぱきと場を仕切っていた人から正式に「キャラリクを受け付けます」とのお言葉が。
ただ、ポーズやらなにやら、どのようなイラストを描いてもらうかまでは指定できないとのこと。
じゃあ、「静岡さんを乳だくで!」とか言うのは御法度ですね?
そして、14時になりサイン会のはじまり。5階の会場に入って、はっとりさんを見やると・・・
オタクっぽくはなく、かといってチャラい格好をしていることもなく、ごく普通のサラリーマンみたいな雰囲気の人なんだなあ・・・と。
いや、べつに百先輩やイカマサ先輩のような、アレな人を想像していたわけではないですけどね?
それはそれとして、ゆ→きをリクエストされて「うわ、久しぶりだ!描けるかなあ・・・」とかなんとか、笑っていたのにはウケましたよ。そしてもちろんサラサラと描いて、イラストの横に「うい~」と書き添えるのを忘れないのもさすがです。
だから、その次の人のリクエストに「・・・れな?」という反応だったのも、もちろんギャグですよね?w
「ウミショー」のキャラを描いていただこうと思っていたのですが、サイン対象商品のタイトルは「下着日和」、静岡さんにするのがスジかなあ・・・などとちょっと悩みながら、結局あむろをお願いすることにいたしました。
ということで、私だけのあむろたんはこちらです。ちょわー!
Aug 4, 2006
打姫(うたひめ)オバカミーコ 実写版
こうしたマイナーなDVDタイトルが普通のショップに入荷されることもなかろうと、秋葉原の石丸電気に行って新譜コーナーから手に取るや、そこには小向美奈子さんのイベント参加券がもらえる旨のプレートが。
ただ、それはリリースされた翌週、ちょうどそのイベントが行われた直後のこと。
レジの店員さんにそれでも構わないかどうか訊かれ、「いや、片山まさゆきさんのサインは確かに欲しかったですが」などと答えることもなく購入、さて、早速鑑賞するとしましょうか。
・・・うん、この胸は確かにグッジョブだ。特にリーグ戦の闘牌シーン、胸の上に付けたネームプレートの角度にはそそるものが!萌えるものが!
それはそれとして、ドラマそのものの按配はと言うと・・・ いやいや、なかなかに楽しめる出来でしたよ。
この手のドラマにありがちなくすぐりが寒かったけれど、それも予想していたことだしね。
どうせなら闘牌のシーンをもう少し見せるものにしてほしかったとか、恭子がきちんと描かれていなかったのがちょっと・・・とか、多少言いたいことはあるものの、小向美奈子さんはがんばっていると思うし、波溜を演じた岸本祐二さんが原作のイメージにぴったりなのもなにより、で。
そして、
「言ってること、わけわかんない」
「わけわかれよ!」
「こうなったら、俺たちはもう勝つしかないんだ!」
人形劇の麻雀講座はいらないと思うけれど、それほど原作に忠実に映像化したことが、サイン入りジャケットやツーショットポラロイドには興味のない、原作のファンを納得させる結果に繋がったように思います。
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片山まさゆき「打姫(うたひめ)オバカミーコ」
Aug 1, 2006
口八丁ぐりぐら「花と泳ぐ」
たとえこの日々が、限りあるものだとしても。
彼女の存在が、誰にもわからないのだとしても。
「あずまんが大王」の手口や文法そのままに、体裁だけはもっとだけど出来はと言えば・・・という作品が少なくないように思える最近の4コママンガ。
この作品はそうした無為なものではないものの、ただ、物語の中心に在るものと、いまどきの普遍的なギャグが相容れないというか、そぐわないというか・・・なのが気になるところ。
また、サブタイトルに「the beautiful days」と謳い、自分がどうして幽霊になったのか分からないヒロイン・菊子をめぐる、楽しくて、だけど切ない日々を描こうとしているのなら、そもそもギャグにふった話作りにしなくてもいいだろう、とか。
そうしたもの言いは無粋なのかもしれませんが、「4コママンガのドラマ性」を考えているのであればなおのこと、その絵柄の可愛さと合わせて、どうにも違和感を抑えることができませんでした。
しかし、
「僕たちは、こんなに狭い世界ですれ違い続けていた。」
だからこそ物語の行く末が読者の期待を裏切らない、素敵なものになるのなら、そのインパクトはことさら強いものになるのだろうな、と。
実際、この手のマンガは油断して読んでいると、たとえばしおやてるこ「チョコレート」のような不意打ちを喰らうことがままあることですしね。
まあ、個人的には今さらな貞子ネタに不覚にもウケてしまったし、梅ちゃんや会長はいいキャラだし。
なにはともあれ「眠り姫」は目覚めるのか、それとも・・・と、その結末に注目されるべき作品であるとは言えるでしょう。
May 10, 2006
犬威赤彦「幻想主義」
嗜好としてのファンタジーは、なるほど、モラトリアムの香りがしないでもないなあと、読み始めてすぐまず感心。
映画館での出会いや、恭一が母親の写真に話しかけるシーンなどは「いかにも」だけど、こういうのは嫌いじゃないし、理子が日常生活の中で感じている居心地の悪さをキッチリと描きながら物語が進むのは、うん、いいカンジだね、と思ったり。
そして、ラストが「冒険の旅」であることも、王道とはいえ無理にヒネる必要などないのだから上々ではあるのですが、そこへと至る中盤の山場、テーブルトークRPGのシーンについては読む人によりけりの感想になりそうだなあと思うし、さらに言えばこの作品の評価を左右してしまうことになるのでは、と。
ほとんどの人がプレイしたことなどないであろう世界に、物語における重要な意味を持たせるのなら、読者をとにかく引きずり込まなければならない、その覚悟および力量が必要であるはず。
もちろん、嗜んでいる人であればまた違った感想になるのでしょうけれど、自分の場合は読んでいてどうにも醒めてしまったというか・・・
また、いつものことであるとは言え、全体を通して台詞やコマ割りに凝りすぎている点も、物語が展開する上でのリズムを徒に悪くしているだけなのが気になるところ。
まあ、あとがきやとらのあなのメッセージペーパーにある通り、完結するまでの二年半、難産を重ねたであろうことを考えると、そう酷評するのもどうかという気はするし、この作品や「こみっくパーティー」を踏まえて、またセイシュンな物語を描いた場合にどのようなものになるか、注目したいとは思います。
しかし、現時点ではいかに「MURDER PRINCESS」が、その作風に相応しい物語であることか・・・ それもまた、この作品を読んでの感想ということになりますね。
Apr 26, 2006
亜桜まる「090 えこといっしょ。」
・・・・・・ちょびっツ?
などと思わずベタなボケをしてしまうくらい・・・ かなり面白いですよ、これは!
「勝手に充電しないでよっ ドスケベ!!」だの、えこがさも当然のように学校についてきて「うあーっ!?」だのといったギャグはツボだし、小気味のよい台詞回しが実に自然にストーリーと絡みあっていて、だからシリアスにふった話でも嫌味のない、バランスのよい仕上がりになっています。
キャラクターもあざとさや無理がなく、徒に萌えを狙うこともなくていいカンジ。生徒会については「・・・くじアン?」と思ったりしないでもないですがそれはそれとして、とにかく佐藤くんが面白い!
刺客との戦い、「じゅ・・・・ 10人目・・・・!?」にはシビれましたよ、ホント。そうか、たまにメールの配信が遅れるのはそういう理由なのか・・・なんて、ね。
そうした話作りは、おそらく計算されたものではなくて、たとえばとらのあなの単行本発売記念の描き下ろしイラストカード、なんでえこじゃなくて会長を描くのかなあ、といったあたりがまた実に心憎かったりする、作者の「天然」なセンスによるものなのでしょう。
実際、「最新型の携帯電話が女の子」というプロットは分かっていながら、第二話くらいまでは「いったい何やってんだこのマンガ?」と思ってしまったのは、まさにそうしたことによるものなのだろうな、と。
ということで、帯コピーの「桜場コハルさんも大絶賛ッ!!」やら、とらのあなの「超新星」という煽り文句やらは決して大袈裟ではない、これからが楽しみな作品、作家と言えるでしょう。
Apr 16, 2006
西島大介「アトモスフィア1」
わたしがわたしのために、
あらかじめ、みんなを赦してるから・・・
西島大介さんの新作は、ある種の狡猾さとともに超感覚的なストーリーを読者に供することになる、いつもながらの「メタとネタと萌え」。
作者の内的世界、その深淵を描くという意味において、いまこの人ほどに純文学的なコミックの描き手はいないでしょう。
まして、いまそこで起きている「何か」をテキトーに描くことがこの人の作風であるのなら、作品の中で躍るキャラクターの存在感と、淡々と描かれてゆく妙なる物語世界は、その圧倒的なセンスと絶対的な力量に拠るものと感嘆するばかりです。
といった具合に、サブカルな人たちであれば、まるでそれが美徳と言わんばかりに賞賛するのでしょうけれど、この人の作品を読んで思うことは、その一歩先へと突き抜けられるのか、ということ。
存在理由と自我認識。
ドッペルゲンガーに出会ったのなら、そのもうひとりの「わたし」を殺さないと・・・
でも、どっちがドッペルゲンガーなの?
この物語にしても、またぞろ読者を突き放し、奇を衒っているだけのように受け止められかねない結末になるのでは、といったあたりが危惧されるところ。
だからこそ、そうした悪意のある評価など、呆気なくねじ伏せるような作品として完結することを、今週発売される続刊には期待しています。
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西島大介「ディエンビエンフー」
Mar 7, 2006
ベサメムーチョ・鳴子ハナハル「かみちゅ!」
アニメーション「かみちゅ!」は、舛成孝ニ+倉田英之+羽音たらくという強烈なスタッフによる「プロジェクト」であるように思え、そして第一回を観るやあまりのクオリティに感心してしまったものですが、さて、その放送開始前のこと。
「コミカライズを鳴子ハナハルさんが!」と、連載がはじまったときの電撃大王を勇んで買ったはいいけれど、ねねね萌えであること甚だしいほどにたらく絵があまりにもツボな身としては、複雑な思いとともに読んだところ・・・
うん、さすがの出来映えだ、と。
同人誌即売会では参加者が殺到するという、そのラベリング効果とかではなしに、鳴子ハナハルさんの力量がはたして炸裂。
とらのあなの単行本購入特典のイラストシートで、倉田英之さんが「女子中学生に対する魂は」と宣っているのは、方向がなんかちょっと違うような気がするけれど、いや、この人のマンガがエ■いのは当然だけど、とにもかくにものハイレベル。
まあ、単行本を改めて読み直してみると、野郎や八百万の神の描き方がぞんざいという気がしないでもないですが、ゆりえに光恵、祀の三人を、そして瀬戸内の町で繰り広げられる不思議な物語をどのように見せるのか、それが作品の骨子なのだから、画力といい構成の妙といい、まさにこのプロジェクトにはうってつけの起用であったと言えましょう。
かくしてオタク系の書店おけるこの第一巻の入荷量は途轍もないものとなり、さらに初単行本とあっては凄い売れ行きだったようですが、ともあれそうした局地的な読者だけのものにしておくのは惜しい、より広く読まれるべきな作品、そして作家であることは間違いないように思います。
Mar 5, 2006
しおやてるこ「チョコレート」
田舎の中学生、ユキヒロと、彼が憧れている東京からやってきた転校生のハルコ。
その恋の物語というよりは、東京との、そして少年と少女との「距離」の物語と捉えた方が適切であろうこの作品は、
「でもきっと・・・ 椎名ならダサイ制服もダサイヘルメットも似合う」
少年のそうした他愛のないモノローグも心地よく、また、携帯電話が繋がりにくい部屋の中で、
「さびしいよ。東京から忘れ去られていく感じ・・・」
と、悲しむ少女のこころの襞をゆっくりと、そして清冽に描きながら進んでいきます。
そして、遠くを見つめる少女が描かれている扉絵、少年が東京へ向かう電車を眺め、その音を聞く物語のはじまりの帰結として、「東京に行こう」と二人が電車に飛び乗るクライマックスへと至ることになり・・・
はたして彼らの思いのその先にあるものは、ハッピーなものなのか、それとも悲しい別れなのか。
読み進めていく中で、ちょっとしたスリルのようなものがあり、そしてそれは物語の作り手が、いま、そのときの登場人物を肯定するのか否定するのかに委ねられるわけですが・・・
そうした点で、ラストはちょっと弱いかな・・・という気はするし、脇役の描写をもう少し丁寧にした方が物語により深みが増したろうにと思ったりはするものの、油断して読むとその出来映えにびっくりすること請け合いの傑作であると言えるでしょう。
■ しおやてるこホームページ・しおちん http://www2u.biglobe.ne.jp/~shio-x1/
Feb 15, 2006
万乗大智 「サイレン」
映画「バイオハザード」のヒットが、ゾンビ復権の契機のひとつであったことを考えれば、「メディアミックス」という流行り言葉も、ゲームを巡るそれはホラー好きにとってはなかなかに歓迎されるべきものであると言えるでしょう。
「ハウス・オブ・ザ・デッド」のような、ヒロインの乳しか見どころのない ピ ー な作品もあるわけですが、映画の話はそれくらいにしておいて、さて、このコミカライズはと言えば。
日野日出志がトラウマだったり、諸星大二郎はやっぱ天才だよなあ・・・とかはあるものの、古典から最近の作品に至るまで、鮮烈な印象を受けたホラーコミックは多くはなく、この作品もやはり絵柄と導入部から旧態依然な印象を抱きながら読み始めたわけですが。
なにはともあれ小学館のコミック誌に掲載された作品、かつ「DANDOH!!」を描いた万乗大智さんの手によるものであれば、かつて朝日ソノラマあたりでマニアの寵愛を受けた類の作品と比べて、しっかりとまとまった作品であるようにまず思ったのは偏見でもないだろう、と。
特異なプロットであることから、キャラクター設定やその最期、そして物語の結末をあえて典型的なものにしているのも、きちんと考えられた仕事であるように思えます。
個人的には、ゾンビもののテイストが味わえるストーリーだけで万事オッケー!みたいなところもあるのですけど、ね。
あえて言えば、軸がぶれることなく展開する物語なのだから、もう少し残酷な描写があってもそれもまたアクセントになったろうにという気もするのですが、それこそ私見。
「それだけ」の作品が散見されることを考えれば、腰の据わった作りそのものをも堪能できるホラーコミックということで、お薦めの一冊です。
Jan 26, 2006
須藤真澄「長い長いさんぽ」
ゆずが「もう充分」って言うまで、
どうか誰もゆずを連れて行きませんように・・・ (「ゆず」第14話)
一緒に暮らした十六年の歳月。
自転車のカゴの中で、もう動くことのないゆずと一緒に歩き出した冬の日。
その長い散歩を描いた、ゆずとままの最後の物語。
いままでの作品がみな橙色の装丁であったのに、この本を空色にしたのは、ゆずが駆けた、ゆずとままが歩いた日々の上に広がっていた青空をあらわしているのでしょう。
もっと優しくできたはずなのに。
もっともっと、楽しい時間を過ごせたはずなのに。
猫と暮らした人たちはみな、そう悔やんだり悲しんだりするのでしょうけれど、その思いに「ありがとう」と、彼らはきっと微笑みながら、天国へと旅立っていくに決まってる。
ゆずも、きっと。
■ 須藤真澄ホームページ・おさんぽ王国 http://www.catnet.ne.jp/masumi/
Jan 25, 2006
小箱とたん「スケッチブック」
あの「ぱにぽに」でさえ、はじめのうちは「あずまんが大王」のデッド・コピーと貶されたもの。
氷川へきるさんの実力と実績をもってすらそうだったのだから、この作品がさらに辛辣な評価を受けることになったのはやむをえないところでしょう。
かつてふたば☆ちゃんねるに作品がアップされ続けていたことは、晒されていたのかファンがやったことなのか判断がつきかねるところですが、それはそれとして。
諸々のギャグやネタが、別のこのキャラでなくてもいいのでは?と、登場人物が多い理由がいまひとつ明確ではない点が気になるところで、さらに言えば涼風コンビの不条理ギャグはもはや見飽きた手口だし・・・と、なにはともあれ誉めづらいマンガであることは否めないように思えます。
ただ、改めて3巻まで、さらに出張版を読んで思ったのは、その独特のヌルさがだんだんと心地よくなってきたなあ、ということ。
「ギャグとして成立しているのか、これ?」という微妙なネタも健在で、氷川へきるさんの驚異的なセンスの対極にあるそれは、もしかしたらこの作者ならではの持ち味なのかもしれません。
アートのセンスがますます冴える神谷さんや、蘊蓄の尽きることのない栗原さん、はたまた影の薄さに拍車のかかる主人公の空と、この作品を読めば誰か一人はお気に召すキャラクターがいるでしょうし、寒い冬の夜にまったりと読むのにはなかなかにうってつけ。
キャッチコピーの「ほんわかと優しい気持ちになれる」という言い回しは、この作品の特長を端的に、そして的確に表していると言えるでしょう。
Jan 9, 2006
ドラマCD「みかにハラスメント」
台本をもらう前に読んでおこうと単行本を買いに行ったものの、周囲の目が気になってしょうがなかった・・・ orz という、みか役の那須めぐみさんのエピソードには、なるほど、アフレコ前にこの作品のテーマである乙女の羞恥心を味わったわけだな・・・となかなか萌えるものがあったわけですがそれはさておき。
アキバで話題騒然となった「みかにハラスメント」、その「えっちじゃないせかい」「子供のせかい」の二話と、オリジナルシナリオ「戦士のせかい」、さらに声優さん三人の対談が収録されているこのドラマCDは、当然のことながらアレなボイスが特盛。
「だいた~ん! 学校にパンツはいてきてるー!」だの「見えちゃう・・・」だのといった台詞に声が充てられているのはなかなか凄いものがあるので、音漏れのするヘッドホンで人前で聴くのは御法度です。
デキについては過度な演出もなく、冗長でもなく、ハマった人であれば満足できる内容。
そしてオリジナルシナリオは、羞○プレイ・飼○プレイ・幼○プレイときた原作を踏まえて、まあ一応「触手プレイ」ということになるのでしょうか。
人体には影響のない、服や下着だけを溶かす都合のよい粘液を出す触手というのは、水兵ききさんのピンナップポスター(初回封入特典)のイラストを含めて、お好きな御方はもうたまらないかもしれません。
ココア役の綱掛裕美さんが「1○禁ではありません!w」と対談で強調してはいるものの、ちょっとヤバスな気がしますが。
とはいえそれがメインではなしに、羽月が作り出した時空の狭間の世界に放り込まれたみかがどのようにして現実の世界に戻るかを、すべてのキャラクター(犬を除く)を登場させた上で作られたストーリー。
オチがアキバストーンであることを含めて、この作品のテイストを大切した、よくできたシナリオであると言えるでしょう。
ということで、このドラマCDで一連のムーブメントもさすがにひと段落かなという気はするものの、「強烈無比な熱い支持」のある作品であれば、アニメ化があるやいなや・・・
ということで、まだ警戒が必要なのかもしれませんね。なんの警戒かは分かりませんが。
Jan 5, 2006
私屋カヲル「こどものじかん」
とらのあなのメッセージペーパーで私屋カヲルさん曰く「恋愛経験値的には双方互角」、かわいい上に問題児の九重りんと、頼れる兄貴のような教師を目指したけれど・・・な青木大介のラブ・コメディ。
表紙イラストと、帯の「ちっちゃいけどすごいんだよ。」というコピーからなんとなく、読み始める前は「今日の5の2」のような話かと思っていたのですが・・・
隊長! これはヤバイくらいエ■いでありますよ!
どのくらいエ■いかというと、あの「みかにハラスメント」がヌルく感じられるほどで・・・!
といったもの言いは、こちらのヒロインが小学三年生であれば大袈裟に過ぎるでしょうけれど、だからこそのエロチシズムが全篇に溢れていて、もはや萌えのその先に行ってしまっているような気がします。
そして、萌えマンガだと思って読んでしまったらそれは作者の掌の上。
ツインテールやメガネっ娘といったあざといキャラクター設定は、作品の敷居を低くするための意図的なもので(とらのあな無料情報誌「とらだよ。」59号インタビュー)、少女たちの心の襞や、子供たちとどう向き合うかを考える教師たちがしっかりと描かれているストーリー性に感心させられることになるでしょう。
そうした巧妙さもさることながら、物語を思いつきだけで複雑にしたり、徒に伏線を張り巡らせたりといった嫌らしさがないことも好印象、なかなかに上質な仕上がりの作品になっています。
ということで、アキバのレンタルショーケースでは3,000円で売られているくらい、品薄が続く第1巻。
アキバBlogほかで話題になっているからという理由ではなしに、この売れ行きは作品の面白さゆえと思って、未読の方は書店で目にしたら素直に釣られておくが吉でしょう。
Dec 25, 2005
木尾士目「げんしけん」第7巻
巻を重ねるごとにキャラクターの魅力が増している上、ストーリーも「こちら側」の世界をより深く、より精緻に描いてきたこの作品も、第6巻では失速したように感じてしまったのは、第5巻があまりにも秀逸だったから。
勇気を出して、「私が・・・マンガも少し描きましょうか?」と言ったときの心のうち、さまざまな想い。
その荻上の健気さは、萌えるのを忘れてしまうほどに感動的でしたしね。
だからこそ、コミフェスへのサークル参加やオタク嫌いになった過去、そして笹原と交錯する想いといった、荻上を中心としたストーリーの第7巻は、面白さが立て直されたことに満足できる出来映えでした。
「本当に描けるの? この私の恥ずかしい妄想を・・・!」と、本音で大野さんと向かい合ったり、本が売れたことを喜ぶ笹原をつい見つめてしまったりといったシーンもさることながら、エ■ゲをプレイしながら荻上のコスプレを思い出す笹原という、普通のマンガではありえない描写もまた絶品と言えましょう。
ということで、この最新刊には、冬コミのハラシマを描き終えて安堵しているであろう腐女子のみなさんは勿論、荻上と青春しちゃったり風呂場で爆乳を披露したりと、このところイタかったりヒール役だったりした大野さん萌えの諸兄も満足されたことかと。
とらのあなの担当者が「荻上さんの同人誌、ぜひ委託させて下さい!!」とラブコールを送るのももっともですが、「もし笹原先輩が目にしたら・・・」と、卸しそうにはないですね。
Dec 16, 2005
佐々木少年「真月譚月姫」
「とりあえず夢魔のシーンではご飯が三杯は食べられますよね!」
「ていうか、それくらいゲームで見てるだろ?」
「アルクシナリオだけはクリアしてますからね!」
「・・・オタクとしてちゃんと全部プレイしろよ」
「うーん。今は『ToHeart2 XRATED』でそれどころじゃないしなあ・・・」
「インスコはおろか開封もしてない奴がなんか言ってるな」
「とまあ、そういう輩やオリジナルを知らない人たちを啓蒙する役割を担うほど、あるいは電撃大王の佐々木少年さん直筆サイン入りデジタルプリント誌上通販に申し込まなかったことをいまだに後悔しているほどに、デキのよいコミカライズなわけですよ。 orz 」
「その反省から最近は、電撃G's magazineのナイスガイ・ちゃんさまテレカやToHeart2ピンバッヂのために定額小為替を買いまくっているわけだな」
「それはそれとしてこの第三巻、アルクは可愛いわ秋葉は見せるわ、死者の描写も『ゾンビ』みたいでナイスだわ。さらに読ませるものになっているなあ、と。オタク友だちが琥珀さんを指して『腹黒萌え~!』とのたまう理由まではもうひとつ分からないままでしたけど」
「だからゲームをやれと。あとおまいら、アキバの万世で最萌やるのはかなりイタいぞ」
「彼らにも困ったものですよね」
「お前もだ」
Dec 5, 2005
西島大介「ディエンビエンフー」
ステップを踏むように殺戮を重ねる彼女のステージは、1965年のベトナムだった。
「世界一かわいい、ベトナム戦争」というコピーとは裏腹に、過激な殺人描写とシニカルな視点から描かれる戦争の狂気。
「ベトナム政府軍でも解放戦線でもない第三の存在、農民によって組織された精鋭特殊部隊」というまことしやかな噂が米軍内で囁かれるも、一個中隊を全滅させる力を持っていたのは十一歳の「姫君」。
狂気の中、ただひたすらに躍る彼女は可憐ですらあり、だからこそ従軍カメラマンの少年のハートには火が点けられて、そして「姫君」もまた少年を見つめる。
狂気と正常。
いつかお互いを知るとき、そこに在るものは何か。
また、もうひとつの狂気、「ツマンナイ・・・ もう少しマシな戦争をやろう!」と、戦地をクルーズするティムと「姫君」の来るべき邂逅のとき、そこで少年は何を見るのか。
「馬鹿みたいな嘘」ばかりを描くことで、まともな戦争の物語になるかもしれない。
西島大介さんのこの試みがどう映るかは読む人次第でしょうけれど、戦争の愚かさや悲劇といったいかにもなメッセージ性が皆無であることも清々しく心地よい、いまいちばん完結が待ち遠しい傑作です。
Nov 25, 2005
七瀬あゆむ「パチスロバカップル」
自分がネグラにしていた店には獣王やサラ金で立ち回っている男前な女の子がいたものの、ミツルのような美人が打ちに来るわけがなく、仮に隣りに座ったところで不二子の青7ビタ押しの成功率が7割というヘタレであれば、「お嬢さん、ボクが押してあげましょう (´ー`)y-~~ 」と声をかけたりするわけもなかったわけですが。
だから竜ヶ崎夏彦はある意味幸運なのではと思ったりするわけですが、それにしても新キャラまでが妄想癖炸裂、この第三巻でも相変わらずミツルがあんなことやこんなことをするシーンばかりというのは、ある種の潔さが感じられるというもの。
勝負ネタが多くなってストーリーのバリエーションが増えはしたものの、パチスロマンガ界の「ふたりエッチ」状態から脱却する気配は依然としてなく、とりあえず成人指定にした方が話は早いだろう、と。
孤高の人であった武藤さえも狂わせる魔力、ていうかあの激ヤバ!な乳がいけないのでしょうがそれはそれとして、例えば「タケトの父親は古書店主で売れない作家」といった設定がいろいろあるのだから、いいかげん話を膨らませようよ・・・と思わずにはいられないところ。
また、タマキたんハァハァなシーンがナースコスプレくらいしか・・・ (´・ω・`) といった個人的な意見はともかくとしても、七瀬あゆむらしさが楽しめる「あの頃のボク達へ・・・」がないことに、物足りなさを感じた人は少なくないことでしょう。
それでもとらのあなやK-BOOKSといったオタク系ショップでも平積みにされるのだから大したもの。
萌えスロ・萌えパチという言葉ができたり、アキバではこのようなティッシュを配っていたりと、「あやまれ!田山幸憲プロにあやまれ!」と憤りを感じてみたりする昨今ですが、まあ「アドリブのきかねー奴は勝てねえ!」とか「スロは気合や!」とかいうマンガばかりでもなんなので、これはこれでいいのでしょうね。
Nov 10, 2005
桜場コハル「みなみけ」
話作りの上で性差を意識しすぎた嫌いのある「今日の5の2」に比べて、「小学生・中学生・高校生を取りそろえた」ことによりキャラクターやストーリーに拡がりが出た結果、セリフの妙や特異な空気がより冴えているのが本作品。
この手のマンガでありながら掲載誌がヤングマガジンであることや、やはり「あずまんが大王」を連想してしまうテイストについて一家言ある方もいるでしょうけれど、巧妙さを増したその手口は三姉妹に萌えている暇もないくらいの面白さ。
色眼鏡で見たりせずに、素直に楽しんだ方がトクであることは間違いないでしょう。
そしてこの第二巻は、なんと言ってもハルカの「全身をゆるめていくようなありえない制服の脱ぎ方」だけでも買う価値があるというもの。
登場人物の区別がつきづらいという問題も、繰り返し読むことにより克服してこそ漢。
まあ私の場合、ハルカの友人とチアキの友人を混同するという、オタクにあるまじき体たらくだったわけですがね・・・
ところで、発売初日で完売する店が続出した限定版。
発売翌日に発見して、「これはもうアレだな。限定版を買おう」と値段を見ずにレジへ持っていったところ、「2,999円です」と言われて「あい?」となった私。
いつもながらのオタクの業、まあいいやと思いはしたものの、出荷数がおそらく少なかったのはその値段ゆえか・・・と納得したり、「桜場コハルPACK」に2,460円の価値が見いだせるかと言えば・・・といったカンジは否めないよなあ、と。
などとブツブツ言いながら、PCの壁紙はのんびりしているハルカさんにしましたけどね!
Nov 1, 2005
しゃあ「キョウハクDOG's」
ねこバス停を知ったのは四年前のこと。
レヴォはともかく、MOON PHASEですら島中だったサークルが、瞬く間にコミケのシャッター前へと駆け上がったことに驚きはしましたが、その一方でそれはとても自然なことではあるなあ、と。
面白い本を作ろう、そうした思いがねこバス停の同人誌には溢れていて、しかし公式サイトにある通りおそらくは「適当」にやっているであろうことがしゃあさんのセンスの凄み。
絵のうまさや話作りの絶妙さもさることながら、そうしたあたりも人気の所以なのでしょう。
しかし、電撃帝王創刊当初に掲載されたオリジナル短編のデキたるや ピ ー
やはりそれこそコミカライズの方がいいのでは・・・と、あまり期待せずに読むことにした本作は、帯に「私の奴隷(イヌ)になってください・・・」とある通り、気弱なヒロインの脅迫から始まるラブコメディ。
「またオタクネタですか」と思わずにはいられないし、ギャグであれシリアスであれ、ストーリー展開はいかにもオーソドックス。
少なくとも声高に誉めるわけには・・・というのが正直なところですが、独特の画風と、コマやページの隅々に施された細かな芸が相まって、この人ならではのコアな世界が繰り広げられているのはさすが。
絶対領域を装備したせつなに萌えるもよし、ケイに「ペ○野郎」と罵られたいと思うもよし(よくないな)。
まあ、読む人の度量が試されはするでしょうけれど、少なくともねこバス停の本の楽しさは、この作品でもうかがい知ることができるように思います。
Oct 25, 2005
AQUAPLUS・御形屋はるか「ToHeart2」
ついふらふらとデスクトップアクセサリーとXRATEDの予約をしていながら、オリジナルをいまだにプレイしていない私は「道に外れると書いて外道」なのかもしれず、「やっぱ全年齢版もプレイしておくべきかなあ・・・」とオタク友だちに訊いたところ、「必要ないって。むしろわざわざプレイしたヤツが負け組だよ」とのお言葉。
さすがにそれは違うんジャマイカ・・・と思うし、アニメすら観ていないのはやはり 人 オタクとして間違っているような気がするので、コミック版の単行本をとらのあなで目にするや即座に購入。
「限定版」であることに釣られたとも言えますがそれはそれとして、さて、世間様に倣ってタマ姉に萌えることにしましょうか。
この作品もまた、およそオリジナルの絵柄とはかけ離れたコミカライズではありますが、キャラクターがテンポよく物語の中を駆けているのがいい按配。この手のコミックにありがちなしょっぱさも感じなかったので、生粋のファンも楽しめたのではないでしょうか。
また、やっぱ幼なじみキャラだよなあとか、友だちのお姉さんハァハァなどといった、今さらかつイタい感想はともかく、愛佳にフラグが立つ過程がきっちり描かれているのもいいカンジだなあ、と。
ということで、第一巻に収録されているのはそこまで。
12/9に向けての予習としては甚だヌルいとは言えましょうが、続きはゲームを楽しみに待つことにして、次は特典DVDを拝見するといたしましょう。
このみ役の落合祐里香さんがいちばん胸が大きいのはいかがなものか・・・とか、力丸乃りこさんのトークは絶妙なのに あとの二人は・・・ といった余計なことを考えつつも、登場人物のキャラクター性やToHeart2の世界観に当然ながら触れているのが個人的にはありがたかったところ。
この一冊でとりあえず、それほどの「外道」ではなしに、XRATEDのリリースを迎えられるような気がしたのですがいかがでしょう?
Oct 23, 2005
瀬尾浩史「アキバ署!」
表紙や扉絵でヒロインの久遠あまねを見るや「読子さんですか?」と思ったり、第一話の女子高生・神崎千夏には「令ちゃんそのまんまやんけ!」と突っ込みたくなるのは、オタクのみなさまほぼ同様であったことでしょう。
野郎の刑事はステレオタイプだし、絵柄はやはりどうにも古臭い印象。
ストーリーにしても、初手からWinnyネタですかそうですか・・・と、そのベタ具合に読み始めてすぐ('A`)ヤレヤレなどと思ってしまったわけですが。
まさかあのような過激なネタであるとは思わず、あまねのパワーが炸裂するシーンや千夏のパニック、伊武一弥の漢っぷりといったキャラクター描写の絶妙さや、よく練られたストーリーと構成に唖然。
また、クライマックスにおける、
「セキュリティホールだらけなんですよ! この国の法も!社会も!それを使う人間も!」
というあまねの啖呵も絶品。
それこそ「R.O.D」やらなにやら、どこかで読んだような話のごった煮であるようなイメージは拭いきれませんが、とにもかくにも第一話は「冗談だろ・・・」と思うほどの出来映えではありました。
しかし第二話以降を読むに、スクリプトキディライブにせよメイド+エウリアンネタにせよ、なんかこうアキバの喧噪や混沌の実際はいまひとつ描かれていない感じが否めず、無理にタイトルに謳うのはいかがなものかと・・・という気が沸々と。
「R.O.D」は本がテーマの物語だから神保町が勿論似つかわしいけれど、この作品の場合は変に狙わず普通のサイバーアクションとして描けばいいような・・・
第一話があまりに秀逸であったことと、そのあとのあまねの活躍がイマイチであることを含めて、どうしてもそうした感想になってしまう上、巷のそれは過大評価ではあるまいか、とすら思ったり。
バーチャルな世界と秋葉原のリアル、その対比をより丁寧に描くことにより、この先化ける可能性は秘めているように思いますが、現時点では並の作品であるような気がします。
まあ巻末の次巻予告、そこに収録されるであろう物語のあらすじを読むに面白そうではあり、そうまで酷評するべきではないかもしれませんけれど、ね。
Oct 13, 2005
犬威赤彦「MURDER PRINCESS」
どうしても「萌え」と切り離しては考えづらい犬威赤彦さんの新作がヒロイック・ファンタジーであると聞いたとき、うーん、どんなもんだろうねえ・・・と懐疑的だったのは、やはり「マンガ」の描き手としての技量を訝しく思っていたため。
マンガで要求される画力とは「イラスト」では決してなく、構図やコマ割り、そして動きがどれほどに描けているか。
文句なしに綺麗な絵ではあるけれど、「こみっくパーティー」は出来のよさをシビアに要求されはしない作品であり、たとえその最終巻、特に詠美シナリオが相当に見せるものであったとは言え、そうした点に難があったことは否めないでしょう。
しかし、この作品は「これが犬威赤彦?」と思うほどの出来。
ストーリーそのものはヘンにひねることもなく正攻法、とりたてて誉めるほどではないと思いますが、いちばん心配されたアクションシーンこそがかなりのもの。
描き手もいちばん気合が入るであろうアリタ姫の殺陣は、構図も動きもよく練られた上で描かれている感じで、萌えるというよりは格好いいなあ・・・!と、感嘆した人は少なくないのでは、と。
まあ、プロットやキャラクターデザインは「狙ってるなあ・・・」と、そのあざとさに「飛翔ですか?」と突っ込みたくなるものがありましたが、そういうインネンをつけたくなるくらいのレベルであったことは正直意外、それが読後にまず感じた感想でした。
ただ、最後に登場するアリタ姫の兄が物語を凡庸なものにしそう・・・というのは私見であるにせよ、この先の展開が漫然とならずに読む者を楽しませてくれるのか、なまじこの第一巻がよくできているために、そうした点が若干危惧されるところ。
「虐殺姫」の手綱をしっかりと御した上で見せるべきものを見せること、それがひとえにこの作品、そして犬威赤彦さんの作家性を問うことになるでしょう。











