12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

Jan 21, 2013

ロンドンゾンビ紀行

ロンドンゾンビ紀行都市開発という名の、古き良き街の破壊。
その工事現場で発掘された集団墓地から災厄が解き放たれようとしていた時。
経営危機で閉鎖されようとしている老人ホームで暮らす祖父のために、冴えない生活を送っているマクガイヤー兄弟は従妹のケイティや地元のならず者たちと銀行強盗を企てていた。

そしてロンドンの街に、老人ホームに、ゾンビたちが襲いかかる。
大好きな祖父のための銀行強盗と救出作戦は成功するのか?


ヒューマントラストシネマ渋谷のトークショーでわたなべりんたろうさんが「Twitterで『紀行してないだろ』と言われてますが」と笑った、イギリス製のゾンビコメディが比較される作品はもちろん『ショーン・オブ・ザ・デッド』。ジョージ・A・ロメロが賛美したエドガー・ライトとサイモン・ペッグの感性に及ぶことができるかどうか、それが焦点だった観客は少なくないはずでかく言う私もそのひとり。

封印された死者を甦らせてしまったアバンタイトル、ブリティッシュロックが響くオープニング。
そして物語は『ショーン・オブ・ザ・デッド』よろしく情けない青年たちを中心にドタバタと、どこか間抜けに展開。『ブレインデッド』を連想する赤ちゃんゾンビのくだりでは劇場に笑い声が上がって、ゾンビの集団がフェンスを破壊して雪崩れ込むシーン、ヒール役を引き裂くシーンは『死霊のえじき』へのオマージュだろうなとマニアも納得、小技の効いたギャグもなかなか。ほとんど歩けない老人がゾンビから逃げるシーンの機知に感嘆した向きは多いようで、はたしてラストシーンまで楽しんで観られる作品だとは言えるでしょう。

ただ、手放しで誉めるのはどうか、食い足りない印象があったこともまた事実。
たとえば人物描写が甘いこと。映像とカット割りが多士済々な登場人物たちを捉え切れていない、だから観客が物語をただなぞるだけに陥ることが懸念される。無意味なスローモーションも疑問に思うところ。そもそもはCMディレクターだった監督の初の劇場用映画と聞けばなるほど、ザック・スナイダーのようなものかと納得する話ですが。プロパガンダで期待した、老人たちがゾンビを殺戮するシーンもそれほどのものではないですしね。
そして何より、老い先の短い老人と、もちろん死んでいるゾンビとの戦い、対比というコンセプトがあるのなら脚本と演出には丹念な仕事が要求されるというもの。さらに、人間にとって脅威であるゾンビを、街や生活を破壊しようとする経済社会の暗喩とするなら、ましてしっかりと絡めて描かなければいけない。そうした点については力不足であったことは否めません。

とはいえ全篇に漂うゆるさはとにもかくにも心地よくゴアも上々。ゾンビはのろのろと歩き、頭を狙うのは「常識よ」ではさすがに爆笑、ロメロ原理主義者なら腹が立つこともない出来ではあるので、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のショーンとエドのように、ビールを飲みながらだらだらと観るのがお勧めの佳作です。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

ロンドンゾンビ紀行  Cockneys vs Zombies
2012年 イギリス
配給 彩プロ
製作 ジェームス・ハリス マーク・レーン
監督 マティアス・ハーネー
出演 ハリー・トリーダウェイ ラスムス・ハーディカー アラン・フォード ミシェル・ライアン

この記事のトラックバックURL:

この記事へのトラックバック一覧です

ロンドンゾンビ紀行

» ロンドンゾンビ紀行  監督/マティアス・ハーネー (西京極 紫の館)
【出演】  ハリー・トレッダウェイ  ラスムス・ハーディカー  アラン・フォード 【ストーリー】 幼い頃に両親が死んで祖父に育てられた兄弟のテリーとアンディ。二人は大好きな祖父が入居している老人ホームの閉鎖という危機を救うため、いとこのケイティらを誘い、銀...... 続きを読む

受信: Feb 19, 2013 11:15:47 PM

コメント
コメントを書く