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Nov 24, 2012

トールマン

トールマン閉鎖した鉱山、死んだような町。
そんな炭坑町コールド・ロックから子供たちが次々に消えてゆく。

陰鬱な陰に覆われた町で亡夫が遺した診療所を切り盛りするジュリアは、目の前で息子を連れ去った何者かを追いかける。
しかし、傷だらけになって辿り着いた町外れのレストランに集う見知った住民たちの態度は不可解で、そして息子が連れ去られた場所を突き止めた、その先に在ったものは・・・


シアターN渋谷クロージング作品。
ホラー映画が選択されたことは喜ばしいけれど、「マーターズ」のパスカル・ロジェ監督作品というのは、と思った向きは少なくないはず。オープニングと序盤の展開、そして物語に込められたまなざしの高さは認めようと、同作品の出来は誉められたものではありません。

ではこの作品はどうかと言えばまったく同じ。上述の拭えない先入観はあっただろうけど、オープニングは絵も構成も心憎いほどに巧いなあ、序盤の丹念な演出は物語への期待感を高まらせるよなあと思うも、いざ物語が加速を始めてからはどうしようもなく冗長。覆面を被った侵入者との追跡劇でそうした精緻をいきなり欠いてそのあとも、例えばこの構図は映画作品としてどうなんだとか、ただ不快感が募ってゆくばかり。

それは叙述トリックを織り交ぜたツイストが発生してからも同様、むしろ悪化。
そう、ただのスリラーからこの監督ならではの哲学や、性質を異にする物語に転化してからもなお畳みかけるようなスピード感はなく、さりとてフレンチホラーならではの空気も流れずでは辟易するしかないでしょう。

子供が失踪する意味を、だから「トールマン」は何者なのかを。そして「母」を。

もっと技巧に長けた監督が描いていたら傑作になったのに、と嘆息するしかありません。
ただ、新世代のホラーアイコンと言われるジョデル・フェルランドが演じるジェニーは出色のキャラクター、作品もまあ「マーターズ」より上とは言えるのでそこまで貶さなくてもいいかもしれません。次作以降の、ダリオ・アルジェントがプロデュースする予定のミステリーに期待をしてもいいでしょう。

でも、シアターN渋谷にはもう少しだけ持ち堪えてもらって、ロブ・ゾンビの"The Lords of Salem"がクロージング作品であったなら、というのが正直なところです。


(文中、ネタバレは背景色にしています)

トールマン  The Tall Man
2012年 アメリカ・カナダ・フランス
配給 キングレコード
監督・脚本 パスカル・ロジェ
出演 ジェシカ・ビール ジョデル・フェルランド スティーヴン・マクハティ

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