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Jan 30, 2012

セルビアン・フィルム

セルビアン・フィルム引退したポルノ男優。
現役時代の絶倫と喝采は昔話、今はよき夫でありよき父である彼に降って湧いた儲け話、それは海外市場に向けた大掛かりなポルノ映画への出演依頼だったのだが・・・

脚本もなく内容も明かされないままに始まった異常な撮影、男優にはその狂気を理解して、逃亡する暇は与えられなかった。


宣伝の惹句は「拷問ポルノ」、しかしR20のレーティングはゴアや性的な描写だけが所以ではなく、その倫理性。
映画祭での上映が中止になり、UK版DVDのリリースにあたってカットされたシーンがあることはもっともで、こうしたゲテモノ映画に慣れているであろうシアターN渋谷の観客がしばしば発した息を呑む音が、この作品の凄まじさの証明と言えるでしょう。

ただ、物語は静かにはじまります。異常性もそうは見せずに。
もちろんポルノがテーマであれば胡乱に進行するのですが、やがてゆっくりと異常性が発露する、少女に性的なシーンを見せつけることに激昂する男優はだから正常の象徴であるわけです。
そしてはじまる暴力と殺人は序章に過ぎず、「スクリーン」に投影されるまさかの光景・・・それは男優にとっても観客にとっても!

だってあんなシーン、数多のホラー映画にも!

そして物語は加速してクライマックスへ、それが男優のフラッシュバックとデジタルカメラのモニターに映し出される脚本と演出は見事、薄汚れた部屋のベッドの膨らみを見ただけで、これから繰り広げられるであろう悲劇を予想して反吐が出ようというものです。

では、異常者が制作しようとした「ポルノ」とは何なのか。
それがラストシーンであり、それは「ポルノ」が背徳であること、だから「ポルノ」で国家を破壊しようという


狂気。


ということでプロットと構成から「ホステル」を連想するわけですが、あちらには作り手のマスターベーションが垣間見えた以上本作のほうが上質、どうしようもない不快感だけを取ってみても明らかに上。
方向性がやはり類似する「マーターズ」は流石に難点があるからやむをえないところでしたが、この作品はレイトショー公開ではもったいない傑作だと褒めちぎることにします。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

セルビアン・フィルム  A SERBIAN FILM
2010年 セルビア (2012年 日本公開)
配給 エクリプス
監督・脚本 スルディアン・スパソイエヴィッチ
出演 スルディアン・トドロヴィッチ スルディアン・スパソイエヴィッチ セルゲイ・トリフュノヴィッチ エレナ・ガブリロヴィッチ

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