12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31

Jun 13, 2011

アリス・クリードの失踪

アリス・クリードの失踪綿密に準備された誘拐計画。
刑務所で知り合った中年男と青年は富豪の一人娘を、計画に微塵の狂いも生じさせることなく誘拐して監禁するのだが・・・

1発の銃弾、携帯電話。キス
それぞれの嘘。

200万ポンドを手に入れるための計画は、生と死と愛を賭けて次第に歪み、狂ってゆくのだった。


キャストは掛け値なしに3人、プロットはシンプル。
プロモーションでダニー・ボイルやクリストファー・ノーランの名を引いたことはあざとくはなく、過度な演出を排斥して、緊張感を高めるために普遍的な映画表現さえも省略したイギリス発のソリッドシチュエーション・サスペンスは、作り手のまなざしの高さが窺える作品ではありました。

オープニングの10分間のカメラワーク、演出の巧みさで物語に引き込まれた観客にその後サプライズを与えるタイミングが上々、光と陰を意識した撮影の丁寧さにも唸るところがあったので、私はいい気分でスクリーンに見入っていたのですが。
公開初日のヒューマントラストシネマ有楽町の最終上映、物語の終盤で欠伸や溜息が聞こえてきた、たしかに退屈に思う向きは少なくないだろうとは私も思った、その理由は何か。

物語の登場人物と舞台を限定することによる緊張感、それは有無を言わせない演出力、さもなくば他者が倣うことの叶わない感性があればこそで失敗すればただ退屈なだけ、あの「SAW」だってバスルームだけで物語が展開したわけではありません。
あるいはこの作品の惹句に躍る「嘘」、そのひとつひとつに拠ってヴィックの、ダニーの、アリスの内に猜疑心が湧いて・・・という展開も、登場人物たちがそれでいちいち右往左往するのはどうなんだと貶してもよいと思うのです。

そう、例えば身代金の交渉をヴィック一人でしていることも何かの「嘘」、物語の仕掛けなのではと思っていたらさにあらず、ミスリードで観客を陥れる狡猾さがあったほうがとも思ったし、中盤以降は劇的なツイストが繰り広げられていないのでは。
あの結末とクレジットにはなるほど、と感心はしたけれど、ならばアリスの人間描写、どんな生活を送っていたのかの明示が必要だったはず。それは1~2分程度の描写でじゅうぶん、映画表現とはそういうものでしょう。

ただ、たとえ「ハイテンション」が作品単体では批判されようともアレクサンドル・アジャの才能は否定できなかったように、紛れもない駄作の「ディセント2」(共同脚本)から進化を遂げたJ・ブレイクソンは肯定するべきではありましょう。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

アリス・クリードの失踪  The Disappearance of Alice Creed
2009年 イギリス (2011年 日本公開)
配給 ロングライド
製作 エイドリアン・スタージェス
監督・脚本 J・ブレイクソン
出演 ジェマ・アータートン マーティン・コムストン エディ・マーサン

この記事のトラックバックURL:

この記事へのトラックバック一覧です

アリス・クリードの失踪

» 映画「アリス・クリードの失踪」意外な展開の密室劇 (soramove)
「アリス・クリードの失踪」★★★☆ ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、 エディ・マーサン 出演 J・ブレイクソン 監督 101分 、2011年6月11日, 2009,イギリス,ロングライド (原作:原題:THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「富豪の娘アリス・グリードは 二人組の男に誘拐され、監禁... 続きを読む

受信: Jul 9, 2011 10:21:56 AM

コメント
コメントを書く