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Sep 21, 2008

フロンティア

フロンティア 「なにもかも元通りにしてよ!」
 「俺たちはもうあとには退けないんだ!」

大統領選挙の決選投票に極右勢力が残ったことで暴動に揺れるフランス。
移民の家庭に生まれた5人の若者はオランダへの脱出を計画、混乱に乗じて強盗事件を起こし、国境へと逃亡するのだが・・・

彼らが見つけた小さな宿屋は、この世の果ての絶望だった。


オープニングの胎動、暴動のシーンから物語の序盤、その映像の妙はたしかにアレクサンドル・アジャを連想させるもの。
うん、「リュック・ベンソンが発見した天才の衝撃的デビュー作!」というコピーも眉唾じゃあなさそうだ。

そして緊張感と閉塞感を緩ませることなく狂気と恐怖と絶望を描き、人物描写もなかなかに巧み。
「マーダー・ライド・ショー」や「ヒルズ・ハブ・アイズ」といった殺人一家ものを見慣れていても、飽きることなくクライマックスへと誘われることになるのですが・・・

多民族国家であるフランスの暗部、その不安と、ナチス思想の狂気をかけて、そこからの脱出を描こうとしたのならやや力不足、カタルシスがもうひとつ。

108分という上映時間がちょっと冗長にさせたのか、「ホステル」は見せなかったアキレス腱切断シーンといったゴアは上々だったけど、頭部破壊はトム・サヴィーニの匠の技をさんざん拝んでるからなんか余計とか、ヒロインに銃弾が絶対に当たらないのは見事だねとか、悪意すら湧いて来ようというものです。


そう、ヤスミンの狂気をこそもっと前面に、もっと丹念に描けばいいものを、と。


なにもかも失ってしまった。
両親が迎えに来てくれることを信じて、どこにも行くことのできないエヴァを救うこともできなかった。


とはいえやはりプロットの勝利、どうしようもなく空虚なラストも好みではあり、アレクサンドル・アジャほどの才気があるかどうか本作では判断できませんが、フレンチ・スリラーの佳作ではあるでしょう。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

フロンティア
フロンティア  FRONTIER(S)
2007年 フランス
配給 トルネード・フィルム
製作 ローラン・トロン
監督・脚本 ザヴィエ・ジャン
出演 カリーナ・テスタ サミュエル・ル・ビアン オルレアン・ウィイク エステル・ルフェビュール

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