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Nov 23, 2007

モーテル

モーテル子供を不慮の事故で亡くしたことで、心が通い合うことのなくなってしまった夫婦。

やがて離婚することをお互いに同意している2人が、これが最後になるかもしれないドライブの途中で車のトラブルに見舞われて、やむなく一夜を過ごすことになったモーテルの4号室、「ハネムーン・スイート」と名付けられたその部屋は・・・スナッフ・フィルムの舞台だった。

宿泊料、イノチ。」というあまり気が利いているとは言えないキャッチコピーと、予告編の映像の安っぽさ。
大したものではなかろうと高を括って劇場に足を運んで上映が始まるや、古き良きハリウッドを想起するクレジットのアニメーションと趣味のよい音楽のオープニング、いい意味で予想を裏切られるのでは・・・と期待した人は少なくないでしょう。

そして序盤ではや、リンゴや花火といった小道具をうまく使っていることに監督の技量を垣間見て、ドアを激しくノックする音、ラベルが剥がれたビデオテープに記録された生々しい殺人の映像と、物語が加速をはじめる時にはもう秀逸なサスペンスに主人公たちといっしょに引きずり込まれることになるのです。

 「必ず助かる」
 「約束よ」

外へと繋がることのない電話、救いのない閉鎖された空間。
殺人鬼たちとの戦いの中でカットインする、スナッフ・フィルムの中で絶叫する女性といった丁寧な演出も光り、ここまで良質であるのなら予定調和でもいいかなと思っていると、はたしてシンプルに、だからこそ悪夢の終焉がしっかりと描かれるラストシーン。

夫婦の「空虚」な心を、モーテルの「空室」と掛けたと思われる原題「VACANCY」から「ディセント」を連想したのはともかく、静と動をこうして描ききった力量はお見事で、フィルムメーカーはかくあるべし、似たようなタイトルの某シリーズの作り手たちにとっては学ぶべきところがあるのではないでしょうか。

そう、スタッフが目指したものは、ただ消費されるだけのスラッシャー映画でも「ソウ」でもなく、腰の据わったクラシックなスリラーで、それはスクリーンの中から確実に観客たちに供されているのでした。

(文中、ネタバレは背景色にしています)

モーテル  VACANCY
2007年 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
製作 ハル・リーバーマン
監督 ニムロッド・アーントル
出演 ルーク・ウィルソン ケイト・ベッキンセール フランク・ホエーリー イーサン・エンブリー

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