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Oct 17, 2005

桜庭一樹「ブルースカイ」

ブルースカイこの青空の下、私たちは生き、そして死んだ。
少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語。

この作品の紹介として、帯や新刊案内に謳われているコピーははたして妥当なのかどうなのか。とりあえず自分の場合はもっと異なるストーリーを想像していたし、やはり違和感を覚えた人は少なくはないでしょう。
作者のオフィシャルサイトにおける紹介文が微妙に異なり、そして適切な表現になっているのは、もしかしたらそのあたりを訂正する意図があるのかもしれません。

ただ、「少女という概念」は確かに各部で描かれてはいるものの、その点については「だから?」と思ってしまうほどにインパクトは希薄。なんかこう、プロットの根本との因果関係がいまひとつ、といった感じで。

従い、「青い空」の暗喩、繰り返される「せかいは繋がっている」というフレーズからしても、時間や空間を超えた世界の「システム」を漂う人々を描くファンタジーと捉えた方が、より適切であるように思いました。絶望や困惑の溢れる「箱庭」も、やがて安息を取り戻すわけですしね。

また、そうした解釈によって、最終章を読み終えてまず抱く「なんだこのオチは」という感想も、エリカの過去やマリーの出自、ディッキーたちが作り出したゲームといった世界がオーバーラップした、この特異な物語についての評価へと翻るのでは、という気がします。

と、誉めているのか貶しているのか、自分でもよく判らない感想になってしまいましたが、この作者のファンタジー性はなかなかに新鮮であり、それが顕著な第一部は文章や科白がいちばん冴えている印象。
技巧に走らずトレンドに阿らず、正攻法かつよりハードな物語世界の構築を、新作には期待しています。

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コメント

はじめまして、盲目的に誉めるだけの
書評じゃないとこがイイですね!

マリーの話が、長かったので
そのままいくのかな?と思ったら
主人公も違うし、ラストがちょっと残念。

でも、あれが作風なのかもしれないですね(^^)

投稿者: ユキノ (Oct 31, 2005 10:32:59 PM)

> ユキノさま

コメント、ありがとうございました。

ユキノさんがブログに書かれている通り、魔女狩りがなまじ丹念に描かれていただけに、
第二部・第三部は「うーん・・・」という感想になってしまいますね。
装丁はやっぱいいし、楽しめる一冊ではありますけどね。

だから、日曜日に行った書店で平積みになっていた「少女には向かない職業」も読もうかな・・・
と思ったのですが、私は男なのであの題名はレジに持って行くのに躊躇いが少々・・・ _| ̄|○

投稿者: lein (Nov 1, 2005 1:10:56 AM)

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